「今日のランチ、パスタにするか、それとも焼き魚定食にするか…」日常の何気ない選択ですが、「洋食と和食、どっちが健康に良いんだろう?」と考えたことはありませんか?和食はヘルシーなイメージがある一方、洋食にも魅力的なメニューがたくさんあります。実は、どちらか一方が絶対的に優れているというわけではなく、それぞれに素晴らしいメリットと、知っておきたい注意点があるのです。
この記事では、洋食と和食のそれぞれの栄養的な特徴を詳しく比較し、どんなメリット・デメリットがあるのかを分かりやすく解説します。さらに、健康的な食生活を送るために、どのように和食と洋食をバランス良く取り入れていけば良いのか、具体的なコツまでご紹介します。この記事を読めば、日々の食事選びがもっと楽しく、そして健康的になるはずです。
洋食と和食、どっちが健康?基本的な違いから見てみよう

洋食と和食、どちらが健康に良いかを考える前に、まずはそれぞれの基本的な特徴や違いを理解することが大切です。食事のスタイルや使われる食材、調理法が異なることで、栄養バランスにも違いが生まれます。
和食の基本「一汁三菜」とその栄養バランス
和食の基本とされるのが「一汁三菜(いちじゅうさんさい)」という考え方です。 これは、主食であるご飯に、汁物(一汁)、そして主菜1品と副菜2品(三菜)を組み合わせた献立のことです。
- 主食(ご飯): エネルギー源となる炭水化物を供給します。
- 汁物(味噌汁など): 水分補給とともに、味噌などの発酵食品や野菜、海藻を手軽に摂ることができます。
- 主菜(焼き魚、豆腐など): 体を作るもとになるたんぱく質を主に摂取します。魚なら良質な脂質も摂れます。
- 副菜(煮物、おひたしなど): ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富な野菜やきのこ、海藻などを中心に使います。
このように、一汁三菜を意識するだけで、自然と多様な食材から様々な栄養素をバランス良く摂取できるのが、和食の大きな強みです。 例えば、「まごわやさしい」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは栄養バランスに優れた和の食材の頭文字をとったもので、豆類、ごま、わかめ(海藻)、野菜、魚、しいたけ(きのこ)、いも類を指します。これらの食材は、和食に頻繁に使われ、健康維持に欠かせない5大栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル)をまんべんなく含んでいます。
洋食の基本と栄養の特徴
一方、洋食は肉料理や乳製品を多く使うのが特徴です。 ハンバーグやステーキ、グラタン、パスタなど、多彩なメニューがあります。
洋食は、和食と比較してたんぱく質や脂質、カルシウムを豊富に摂取しやすいというメリットがあります。 特に、肉や卵、チーズ、牛乳などの動物性食品は、筋肉や骨を作るために不可欠な栄養素を効率よく補給してくれます。
しかし、バターや生クリーム、油を多く使う料理も多いため、全体的に脂質が高く、カロリーオーバーになりやすい傾向があります。 例えば、農林水産省の比較によると、ハンバーグが主菜の洋定食は、魚の照り焼きが主菜の和定食に比べて脂質が2倍以上になるというデータもあります。 そのため、メニュー選びや付け合わせを工夫することが、洋食を健康的に楽しむポイントになります。
使われる食材や調理法の違い
和食と洋食では、使われる食材や調理法にも大きな違いがあります。
| 和食 | 洋食 | |
|---|---|---|
| 主な食材 | 米、魚、大豆製品、野菜、海藻、きのこ | 肉、乳製品、パン、パスタ、トマト、ブロッコリーなど |
| 主な調味料 | 醤油、味噌、みりん、だし | バター、生クリーム、オリーブオイル、ソース類 |
| 主な調理法 | 煮る、焼く、蒸す、生で食べる | 焼く、炒める、揚げる、煮込む |
和食は、昆布や鰹節からとった「だし」のうま味を活かし、素材そのものの味を大切にする調理法が多いのが特徴です。 これにより、動物性油脂の使用を抑えることができます。
対照的に洋食は、バターやソースなどでコクや風味を加える調理法が中心です。 油を使って「炒める」「揚げる」といった調理法も多く、これがカロリーや脂質が高くなる一因でもあります。 このように、調理法の違いが栄養面での特徴に大きく影響しているのです。
和食の素晴らしいメリット!健康長寿を支える理由

世界無形文化遺産にも登録された和食は、健康的というイメージが強いですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。 ここでは、和食が私たちの健康を支える素晴らしい理由を3つのポイントから詳しく解説します。
低脂肪・低カロリーで生活習慣病予防に
和食の大きなメリットの一つは、低脂肪・低カロリーであることです。 主菜には、肉よりも魚が使われることが多く、特に焼き魚や煮魚といった調理法では、余分な油を使わずに済みます。 魚に含まれるEPAやDHAといった不飽和脂肪酸は、血中のコレステロールを減らす働きも期待できます。
また、野菜やきのこ、海藻といったカロリーの低い食材をふんだんに使う点も、和食がヘルシーである理由です。 これらの食材に豊富な食物繊維は、満腹感を得やすくし、食べ過ぎを防ぐ効果も期待できます。
ただし、天ぷらやとんかつなどの揚げ物はカロリーが高くなるため、食べ過ぎには注意が必要です。
発酵食品が豊富で腸内環境を整える
和食には、世界でも類を見ないほど多種多様な発酵食品が使われています。
- 味噌: 味噌汁の主役。大豆を発酵させて作られ、たんぱく質やビタミンが豊富です。
- 醤油: 和食の味付けに欠かせない調味料。
- 納豆: 発酵した大豆。独特の粘り気には、健康効果が期待される成分が含まれています。
- 漬物: 野菜を塩や糠(ぬか)で発酵させた保存食。
これらの発酵食品には、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える働きがあります。 腸内環境が整うと、便通が改善されるだけでなく、免疫力の向上や美肌効果など、全身の健康に良い影響をもたらすことが知られています。 毎日の食事に味噌汁や納豆、漬物などを取り入れることで、手軽に腸活を実践できるのは和食の大きな魅力と言えるでしょう。
食材の多様性!魚や野菜、海藻から摂れる栄養素
和食は、使う食材の種類の豊富さも大きな特徴です。 特に、魚、野菜、海藻を多く使うことで、現代人に不足しがちな栄養素を効率よく摂取することができます。
- 魚: 良質なたんぱく質に加え、DHAやEPAといった良質な脂質(オメガ3脂肪酸)が豊富です。 これらは、心血管系の健康維持や脳機能の向上に役立つとされています。
- 野菜: 旬の野菜をたっぷり使うことで、ビタミンやミネラル、食物繊維をしっかりと摂ることができます。 色とりどりの野菜を使うことで、抗酸化作用のある様々なポリフェノールも摂取できます。
- 海藻: わかめや昆布、ひじきなどの海藻は、ミネラルの宝庫です。 特に、現代の食生活で不足しがちなヨウ素やカルシウム、鉄分などを補うことができます。
このように、多様な食材を組み合わせることで、体に必要な様々な栄養素をバランスよく補給できるのが、和食の健康効果の源泉となっています。
知っておきたい和食のデメリットと注意点

健康的なイメージの強い和食ですが、実は注意すべき点もいくつか存在します。 メリットだけに目を向けるのではなく、デメリットも理解した上で上手に食事に取り入れることが、より健康的な食生活につながります。
塩分の摂りすぎに注意!醤油や味噌の使い方
和食の最大のデメリットとして挙げられるのが、塩分過多になりやすいという点です。 醤油や味噌といった調味料を多用することや、漬物や干物、塩鮭などの塩分が高い食品を食べる機会が多いためです。
厚生労働省が定める食塩摂取量の目標値は、成人男性で1日7.5g未満、女性で6.5g未満ですが、実際の平均摂取量はこれを上回っているのが現状です。 例えば、味噌汁1杯には約1.5〜2gの塩分が含まれていると言われています。 塩分の過剰摂取は、高血圧のリスクを高め、脳卒中や心臓病などの深刻な病気につながる可能性があります。
だしのうま味を活かす: 昆布や鰹節でしっかりとだしを取ることで、薄味でも満足感を得られます。
香辛料や香味野菜を活用する: 生姜やネギ、しそ、唐辛子などの風味をプラスすると、塩分が少なくても味が引き立ちます。
汁物は具沢山にする: 汁の量を減らし、野菜などの具を増やすことで、塩分摂取を抑えられます。
調味料は「かける」より「つける」: 醤油などを直接料理にかけるのではなく、小皿に入れて少しずつつけるようにしましょう。
ご飯中心による糖質の過剰摂取リスク
和食はご飯を主食とするため、糖質の摂取量が多くなりがちな点にも注意が必要です。特に、丼ものや麺類などの単品メニューで食事を済ませてしまうと、栄養が炭水化物に偏りやすくなります。
白米は消化吸収が速く、食後の血糖値を急上昇させやすい食品です。血糖値の急激な変動は、体に負担をかけるだけでなく、過剰に摂取した糖質は脂肪として蓄積されやすくなります。
対策としては、白米を玄米や雑穀米に変えるのがおすすめです。 これらはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で、血糖値の上昇も緩やかになります。 また、食べる順番を工夫し、野菜やおかずを先に食べる「ベジファースト」を実践することも、血糖値の急上昇を抑えるのに効果的です。
不足しがちな栄養素(カルシウム・タンパク質)
伝統的な和食では、牛乳や乳製品を使う機会が少ないため、カルシウムが不足しやすいという欠点があります。 カルシウムは骨や歯を丈夫に保つために不可欠な栄養素で、不足すると骨粗しょう症のリスクが高まります。
意識的に小魚や豆腐、小松菜などカルシウムが豊富な食材を取り入れることが大切です。 また、和食の味付けと相性の良い牛乳やチーズを料理に活用するのも一つの方法です。 例えば、味噌汁に牛乳を加えるとコクが出て減塩にもつながります。
さらに、肉類よりも魚や大豆製品が中心となるため、主菜の選び方によってはタンパク質の摂取量が少なくなる可能性もあります。 特に、菜食中心の献立の場合は意識して大豆製品などをしっかり摂る必要があります。
洋食が持つ意外なメリットとは?

カロリーが高く、脂質が多いイメージのある洋食ですが、健康面で優れたメリットもたくさん持っています。和食だけでは不足しがちな栄養素を補ってくれる側面もあり、上手に取り入れることで食生活をより豊かに、バランスの取れたものにしてくれます。
たんぱく質やカルシウムを効率よく摂取
洋食の最大のメリットは、たんぱく質やカルシウムを効率よく摂取できる点にあります。
- たんぱく質: ハンバーグやステーキなどの肉料理は、筋肉や血液、皮膚など体を作るために欠かせないたんぱく質の優れた供給源です。 特に育ち盛りの子どもや、筋肉量を維持したい高齢者にとっては重要な栄養素です。
- カルシウム: グラタンやドリア、クリームシチューなど、牛乳やチーズといった乳製品をふんだんに使うメニューが豊富なのも洋食の特徴です。 これらの料理は、骨や歯を丈夫にするカルシウムを美味しく手軽に補給するのに役立ちます。 和食では不足しがちなカルシウムを補う上で、洋食は非常に有効な選択肢と言えるでしょう。
和食中心の食生活でたんぱく質やカルシウム不足が気になる場合は、週に数回洋食メニューを取り入れることで、栄養バランスを整えやすくなります。
オリーブオイルなど良質な油の活用
洋食で使われる油と聞くと、バターやラードなど動物性の脂肪を思い浮かべるかもしれませんが、地中海料理などでよく使われるオリーブオイルは、健康に良い影響をもたらす良質な油の代表格です。
オリーブオイルに豊富に含まれる「オレイン酸」は、不飽和脂肪酸の一種で、血中の悪玉(LDL)コレステロールを減らす効果が期待されています。 サラダのドレッシングとして使ったり、炒め物に使ったりすることで、手軽に良質な脂質を摂取することができます。
野菜や果物を手軽に摂れるメニューも豊富
洋食は肉料理ばかりではありません。野菜や果物を手軽に、そして美味しく食べられるメニューが豊富なのも魅力の一つです。
- サラダ: 生野菜をたっぷり食べられるサラダは、ビタミンや食物繊維を手軽に補給できます。具材を工夫すれば、たんぱく質も同時に摂れるバランスの良い一品になります。
- スープ: ミネストローネやポタージュなど、野菜を煮込んで作るスープは、野菜のかさが減ってたっぷり食べられるのが利点です。
- グリル: パプリカやズッキーニなどの野菜をシンプルに焼くグリルは、野菜本来の甘みや美味しさを楽しめます。
また、デザートにフルーツを取り入れやすいのも洋食の食文化の利点です。 不足しがちな野菜や果物を意識的に食事に取り入れたいとき、これらの洋食メニューはとても役立ちます。
洋食のデメリットと健康的な食べ方のコツ

多くのメリットがある一方で、洋食にはやはり注意すべき点も存在します。特に脂質やカロリーの高さは気になるところです。しかし、少しの工夫でデメリットをカバーし、健康的に楽しむことができます。ここでは、洋食のデメリットと、その対策となる食べ方のコツをご紹介します。
脂質、特に飽和脂肪酸が多くなりがち
洋食のメニューには、バター、生クリーム、チーズといった乳製品や、脂身の多い肉類が多く使われるため、脂質の摂取量が多くなりやすいのが特徴です。
特に注意したいのが「飽和脂肪酸」です。 これは、肉の脂身やバターなどに多く含まれる脂質で、摂りすぎると血中の悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化や心臓病のリスクを高める可能性があります。
肉は赤身を選ぶ: バラ肉など脂身の多い部位を避け、ヒレ肉やもも肉などの赤身を選びましょう。鶏肉は皮を取り除くと、大幅に脂質をカットできます。
調理法を工夫する: 「揚げる」よりも「焼く」「蒸す」「茹でる」といった調理法を選ぶと、使う油の量を減らせます。
*乳製品は低脂肪タイプを選ぶ: 牛乳やヨーグルト、チーズなどを選ぶ際に、低脂肪や無脂肪のものを選ぶのも有効です。
カロリーオーバーになりやすいメニュー
脂質が多いということは、必然的にカロリーも高くなりがちです。 例えば、クリーム系のパスタやドリア、揚げ物がメインの定食などは、一食でかなりの高カロリーになることがあります。
外食で洋食を選ぶ際は、こうした高カロリーなメニューばかりにならないように注意が必要です。セットメニューを選ぶ際には、フライドポテトをサラダに変更したり、パンやライスのおかわりを控えたりするだけでも、摂取カロリーを調整することができます。
また、一食の量が多いのも洋食の特徴です。 腹八分目を心がけ、食べ過ぎないように意識することも大切です。
血糖値を上げやすい精製された炭水化物
洋食の主食として食べられることが多い、白いパンやパスタ、白米は「精製された炭水化物」です。これらは食物繊維が取り除かれているため消化吸収が速く、和食の白米と同様に食後の血糖値を急激に上昇させやすいという特徴があります。
血糖値の急上昇と急降下は、眠気や集中力の低下を招くだけでなく、長期的には糖尿病のリスクを高める可能性も指摘されています。
対策として、全粒粉のパンやパスタ、玄米などを選ぶのがおすすめです。これらは食物繊維が豊富で、血糖値の上昇が緩やかになります。 また、食事の最初にサラダなどの野菜から食べる「ベジファースト」を実践することも、血糖値のコントロールに役立ちます。
まとめ:洋食も和食も工夫次第!健康的な食生活のために結局どっち?

ここまで、洋食と和食それぞれのメリット・デメリットを見てきましたが、結局のところ「どっちが健康?」という問いに、「絶対にこちらが良い」という単純な答えはありません。
和食は、低脂肪で栄養バランスに優れ、発酵食品が摂れるという素晴らしいメリットがありますが、塩分過多やカルシウム不足に陥りやすいという側面も持っています。 一方、洋食は、たんぱく質やカルシウムを補いやすいというメリットがあるものの、脂質やカロリーが高くなりがちという注意点があります。
大切なのは、どちらか一方に偏るのではなく、それぞれの長所と短所を理解し、上手に組み合わせてバランスをとることです。
例えば、
- 普段は和食中心で塩分を控えめにしつつ、カルシウムやたんぱく質を補うために週に数回、肉や乳製品を使った洋食を取り入れる。
- 洋食を食べる日は、付け合わせに野菜たっぷりのサラダやスープを選び、食物繊維を意識して摂る。
- 和食の献立に、牛乳やヨーグルトをプラスしてカルシウムを補う。
このように、少しの工夫で、和食と洋食の良いところを両方取り入れた、より健康的で豊かな食生活を送ることが可能です。 毎日の食事を楽しみながら、自分や家族の体調に合わせて、柔軟に和食と洋食を選んでいきましょう。



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