ランチの定番、お米とパスタ。どちらも美味しい炭水化物ですが、「食べた後すぐにお腹が空いてしまう…」と感じたことはありませんか?特にダイエットや健康を意識していると、「腹持ち」は主食選びの重要なポイントになりますよね。一般的に「お米のほうが腹持ちが良い」と聞くけれど、それは本当なのでしょうか。また、パスタは腹持ちが悪いのでしょうか。
この記事では、「米」と「パスタ」の腹持ちの違いを、栄養学的な観点からやさしく解説します。腹持ちを左右するGI値や消化のスピード、カロリーの違いなどを徹底比較。さらに、明日から実践できる「腹持ちを良くする賢い食べ方」もご紹介します。この記事を読めば、あなたの体調や目的に合わせて、最適な主食を選べるようになりますよ。
米とパスタ、結局腹持ちが良いのはどっち?
私たちの食生活に欠かせない主食であるお米とパスタ。ランチや夕食でどちらを選ぶか迷うことも多いですよね。特に気になるのが「腹持ち」の良さ。食べた後の満足感が長く続くのは、一体どちらなのでしょうか。ここでは、多くの人が感じる腹持ちの差について、その理由とともに掘り下げていきます。
結論:一般的には「お米(ご飯)」
さっそく結論からお伝えすると、一般的には「お米(ご飯)」の方が「パスタ」よりも腹持ちが良いと言われています。もちろん個人差はありますが、多くの人がご飯を食べた後の方が、満足感が長続きすると感じています。
「でも、パスタもお腹いっぱいになるよ?」と思うかもしれません。確かに、食べた直後の満腹感はパスタでも十分に得られます。しかし、問題は「その満腹感がどれだけ持続するか」という点です。
パスタを食べた数時間後、なんだか口寂しくなったり、夕食前にお腹が鳴ってしまったり…そんな経験はありませんか?これに対し、しっかりとお茶碗でご飯を食べた日は、間食をしなくても平気だった、ということも多いはずです。この感覚の違いが、まさに「腹持ちの差」なのです。では、なぜこのような違いが生まれるのでしょうか。その秘密は、それぞれの食材が持つ特性と、私たちの体の中での消化・吸収のされ方に隠されています。
なぜ?腹持ちを決める2つの要素「消化吸収の速さ」と「血糖値」
腹持ちの良さを決める主な要因は、「消化吸収のスピード」と「血糖値の変動」の2つです。
まず「消化吸収のスピード」について。お米は「粒」の形で食べるため、一粒一粒が胃の中でゆっくりと消化されていきます。これに対してパスタは、小麦粉を練って作られた「麺」です。麺類は一般的に喉越しが良く、ご飯に比べて噛む回数が少なくなりがちで、消化されやすい形状をしています。消化が速いということは、それだけ早くエネルギーになり、早くお腹が空いてしまう原因になります。
次に「血糖値の変動」です。食事をすると血液中の糖の濃度(血糖値)が上がります。この血糖値が急激に上がると、体はそれを下げるためにインスリンというホルモンを大量に分泌します。そして、血糖値が急降下する際に、私たちは強い空腹感を感じるのです。お米(特に白米)は血糖値が上がりやすい食品ですが、粒食であるため比較的穏やかに消化されます。一方、パスタの原料であるデュラム小麦は血糖値の上昇が緩やか(低GI)ですが、食べ方によっては血糖値が急上昇しやすくなることもあります。この複雑な関係が、腹持ちの感覚に影響を与えているのです。
腹持ちは調理法や一緒に食べるものにも左右される
「お米の方が腹持ちが良い」と一言で言っても、それはあくまで単体で比較した場合の話です。実際の食事では、調理法や組み合わせる食材によって腹持ちは大きく変わります。
例えばお米でも、サラサラと食べられるお茶漬けやおかゆは、普通のご飯よりも消化が速く、腹持ちは劣ります。逆に、チャーハンやピラフのように油を使って調理すると、脂質が消化を遅らせるため腹持ちが良くなります。
パスタも同様です。ペペロンチーノのようなオイル系や、カルボナーラのようなクリーム系のソースは、脂質が多いため満腹感が持続しやすい傾向にあります。一方で、シンプルなトマトソースや和風パスタは比較的あっさりしているため、消化が速く感じられるかもしれません。
さらに、肉や魚、卵などのタンパク質や、野菜やきのこなどの食物繊維を一緒に摂ることで、消化吸収がゆっくりになり、血糖値の上昇も緩やかになります。つまり、どんな主食を選ぶかだけでなく、「何とどうやって食べるか」が腹持ちを良くするための重要なポイントになるのです。
見た目の量と満足感も影響する
腹持ちには、栄養学的な側面だけでなく、心理的な要因も関係しています。特に「見た目の量」は満足感に大きく影響します。
一般的な一食分を想像してみましょう。お茶碗にこんもりと盛られたご飯(約150g)と、お皿に盛り付けられたパスタ(乾麺100gを茹でて約240g)。同じくらいのカロリーでも、ご飯の方が「しっかり食べた」という視覚的な満足感を得やすいと感じる人も少なくありません。
また、お米は箸を使って一口ずつ運ぶため、自然と食べるペースがゆっくりになりがちです。ゆっくり食べることで満腹中枢が刺激され、少ない量でも満足感を得やすくなります。一方、パスタはフォークでくるくると巻いて、一気に口に運ぶことが多いため、早食いになりやすい傾向があります。この食べるスピードの違いも、食後の満足感や腹持ちの持続時間に影響を与えていると考えられます。
- 一般的には、お米(ご飯)の方がパスタより腹持ちが良いとされる。
- 腹持ちは「消化吸収のスピード」と「血糖値の変動」で決まる。
- お米は粒状で消化がゆっくり、パスタは麺状で消化が速い傾向がある。
- 調理法や一緒に食べるもの、見た目の満足感も腹持ちに影響する。
栄養面から徹底比較!米とパスタの違い

腹持ちの違いを理解したところで、次はお米とパスタの栄養面での違いを詳しく見ていきましょう。カロリーや糖質、そして腹持ちに関わる「GI値」など、具体的な数値を比較することで、どちらが自分の目的に合っているかが見えてきます。
カロリーと糖質の比較(調理前・調理後)
ダイエット中に気になるのがカロリーと糖質です。まず、調理前の100gあたりの数値で比較してみましょう。
| 項目 | 精白米(生) | スパゲッティ(乾燥) |
|---|---|---|
| カロリー | 342kcal | 347kcal |
| 糖質 | 77.1g | 69.5g |
| タンパク質 | 6.1g | 12.9g |
| 脂質 | 0.9g | 2.0g |
※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より
乾燥した状態で見ると、カロリーはほぼ同じですが、糖質はお米の方がやや多く、タンパク質はパスタの方が2倍以上多いことがわかります。
しかし、私たちが実際に食べるのは調理後の状態です。お米やパスタは水分を吸って重量が増えるため、一食分あたりの栄養価は大きく変わります。
| 項目 | ご飯(1膳150g) | スパゲッティ(1人前240g※) |
|---|---|---|
| カロリー | 234kcal | 353kcal |
| 糖質 | 53.4g | 70.6g |
※スパゲッティは乾燥100gを茹でた場合の目安
こうして見ると、一般的な一食分では、パスタの方がカロリーも糖質も高くなる傾向があります。もちろん、ご飯を大盛りにしたり、パスタの量を減らしたりすれば逆転しますが、同じ満足感を得ようとした場合、パスタの方が高カロリーになりやすいと覚えておくと良いでしょう。これは、パスタがソースと絡めて食べるため、ソースのカロリーも上乗せされることも一因です。
血糖値の上昇度を示す「GI値」の違い
腹持ちを考える上で非常に重要な指標が「GI値(グリセミック・インデックス)」です。これは、食後の血糖値がどれくらい上昇するかを示した数値で、この値が高いほど血糖値が急上昇しやすく、低いほど穏やかに上昇します。
- 高GI食品(70以上): 血糖値が急上昇・急降下しやすく、空腹を感じやすい。
- 中GI食品(56~69): 比較的穏やか。
- 低GI食品(55以下): 血糖値の上昇が非常に穏やかで、腹持ちが良い。
では、お米とパスタのGI値はどうでしょうか。
| 食品 | GI値の目安 | 分類 |
|---|---|---|
| 白米 | 88 | 高GI |
| 玄米 | 55 | 低GI |
| スパゲッティ | 41 | 低GI |
驚くことに、GI値だけを見ると、パスタは白米よりもはるかに低い「低GI食品」に分類されます。これはパスタの原料であるデュラム小麦のセモリナ粉が、硬質で消化吸収がゆっくりな性質を持つためです。「低GIなのに、なぜパスタは腹持ちが悪いと感じるの?」と疑問に思うかもしれません。これは、前述した「消化の速さ(形状)」や「早食い」といった他の要因が、GI値のメリットを上回ってしまうことがあるためです。また、GI値は単体で食べた場合の数値であり、調理法や組み合わせる食材で変動することも覚えておきましょう。
その他の栄養素(タンパク質、食物繊維など)
カロリーや糖質以外にも、注目すべき栄養素があります。
まずタンパク質ですが、これは先ほどの表でも見た通り、パスタの方に多く含まれています。タンパク質は筋肉や体の組織を作る重要な栄養素であり、消化に時間がかかるため腹持ちを良くする効果もあります。この点はパスタの大きなメリットと言えるでしょう。
次に食物繊維です。食物繊維は糖の吸収を穏やかにし、満腹感を持続させる働きがあります。一般的な白米やパスタに含まれる量はそれほど多くありませんが、主食の種類を変えることで、含有量を大きく増やすことができます。
例えば、白米を玄米や雑穀米に変えると、食物繊維やビタミン、ミネラルが格段にアップします。同様に、通常のパスタを全粒粉パスタに切り替えることでも、食物繊維を豊富に摂取できます。腹持ちを良くしたい、栄養バランスを整えたいという場合は、こうした精製度の低い主食を選ぶのがおすすめです。
- 一食分で比較すると、パスタの方がご飯よりカロリー・糖質が高くなりがち。
- GI値は「白米(高GI)>玄米(低GI)>パスタ(低GI)」の順。
- パスタはタンパク質が豊富というメリットがある。
- 食物繊維を増やしたいなら、玄米や全粒粉パスタがおすすめ。
なぜパスタは腹持ちが悪いと感じやすいのか?
GI値が低く、タンパク質も豊富なパスタ。栄養データだけ見ると腹持ちが良さそうですが、実際には「すぐにお腹が空く」と感じる人が多いのはなぜでしょうか。その理由は、パスタならではの形状や食べ方、そして一緒に食べるソースに隠されています。
消化が早い形状と調理法
パスタが腹持ちしにくい最大の理由の一つは、その「形状」にあります。ご飯が「粒」であるのに対し、パスタは「麺」です。麺類は一般的に、噛む回数が少なくなりがちです。フォークでくるっと巻いて、ツルツルと口に運べてしまうため、あまり咀嚼せずに飲み込んでしまうことも少なくありません。
よく噛むことは、満腹中枢を刺激して食べ過ぎを防ぐだけでなく、唾液の分泌を促し、消化を助ける重要な役割を担っています。噛む回数が少ないと、満腹感を得にくくなる上に、胃腸での消化が速く進んでしまいます。その結果、エネルギーとして消費されるのも速く、血糖値が下がるタイミングも早まり、結果的に「腹持ちが悪い」と感じてしまうのです。特に、柔らかめに茹でたパスタは、さらに噛む回数が減る傾向にあるため注意が必要です。
合わせるソースが高カロリー・高脂質になりがち
パスタの味を決め、そして腹持ちにも大きく影響するのが「ソース」です。パスタ自体はシンプルな食材ですが、ソースによって栄養価もカロリーも全く別物になります。
例えば、カルボナーラやミートソース、クリーム系のパスタを思い浮かべてみてください。これらは生クリームやひき肉、チーズ、オリーブオイルなどをふんだんに使うため、脂質が非常に多く、高カロリーになりがちです。脂質は消化に時間がかかるため、食べた直後の満足感は高いのですが、胃腸に負担をかけすぎてしまうこともあります。
また、市販のパスタソースには、味を調えるために意外と多くの砂糖や塩分が使われている場合があります。糖分の多いソースは血糖値を急上昇させやすく、結果的に空腹感を招く原因にもなりかねません。一方で、きのこや野菜がたっぷり入ったトマトソースや和風ソースを選べば、食物繊維も摂れてヘルシーになりますが、脂質が少ない分、満足感が持続しにくいと感じる場合もあります。このように、ソースの選択がパスタの腹持ちの印象を大きく左右しているのです。
早食いにつながりやすい食習慣
前述の「噛む回数が少なくなる」という点とも関連しますが、パスタは「早食い」につながりやすい食事です。フォーク一本で手軽に食べられるため、仕事の合間のランチなどで、時間をかけずに急いで食べてしまうことも多いのではないでしょうか。
食事を始めてから脳の満腹中枢が「お腹いっぱい」というサインを出すまでには、約20分かかると言われています。早食いをすると、このサインが出る前に必要以上の量を食べてしまいがちです。その結果、食べた量に対して満足感が伴わず、食後すぐに物足りなさを感じてしまうことがあります。
また、テレビを見ながら、スマートフォンを操作しながらといった「ながら食べ」も、満腹感を得にくくする原因です。食事に集中していないと、自分がどれだけ食べたかを脳が正しく認識できず、満足感が低下します。手軽に食べられるパスタだからこそ、意識してゆっくりと味わって食べることが、腹持ちを良くするための第一歩と言えるでしょう。
- 麺状であるため噛む回数が少なくなり、消化が速く進みがち。
- 合わせるソースが高脂質・高カロリーになりやすく、血糖値の変動にも影響する。
- 手軽に食べられるため、早食いや「ながら食べ」につながりやすい。
腹持ちをアップさせる!賢い米とパスタの選び方・食べ方

これまで見てきたように、お米とパスタにはそれぞれ特性があります。しかし、少しの工夫でどちらも腹持ちを格段にアップさせることが可能です。ここでは、今日からすぐに実践できる、賢い選び方と食べ方のコツをご紹介します。
お米編:白米より玄米や雑穀米を選ぶ
腹持ちを良くしたいなら、まず試してほしいのが白米を「玄米」や「雑穀米」に置き換えることです。白米は、玄米から栄養価の高い胚芽(はいが)や糠(ぬか)を取り除いたもの。そのため、消化が良くエネルギーになりやすい反面、食物繊維やビタミン・ミネラルは少なめです。
一方、玄米や雑穀米は、食物繊維が豊富に含まれています。この食物繊維が、胃の中での滞在時間を長くし、糖の吸収を穏やかにしてくれるため、満腹感が長続きします。また、白米に比べて硬さがあり、自然と噛む回数が増えるのも大きなメリットです。よく噛むことで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぐ効果も期待できます。
いきなり玄米100%に抵抗がある場合は、白米に大麦(もち麦など)や雑穀を混ぜることから始めてみるのがおすすめです。プチプチとした食感がアクセントになり、美味しく続けられますよ。
パスタ編:全粒粉パスタや食物繊維豊富な具材を選ぶ
パスタの腹持ちを改善したいなら、まずパスタ自体の種類を見直してみましょう。おすすめは、小麦を丸ごと挽いて作られた「全粒粉パスタ」です。通常のパスタに比べて食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富で、GI値もさらに低くなります。独特の風味と歯ごたえがあり、噛む回数も増えるため、満足感が大きくアップします。
次に重要なのが、一緒に食べる「具材」です。パスタを食べる際は、麺だけでなく、きのこ類、野菜(ブロッコリー、ほうれん草、パプリカなど)、豆類といった食物繊維が豊富な食材をたっぷり加えましょう。これらの具材がカサ増しになり、見た目のボリュームもアップ。食物繊維が糖の吸収を緩やかにし、腹持ちを良くしてくれます。
ソースを選ぶ際は、クリーム系やオイル系よりも、野菜がたっぷり入ったトマトソースや、きのこを使った和風ソースなどがおすすめです。もし物足りなさを感じるなら、良質なオリーブオイルを少量加えたり、粉チーズを少しだけ振りかけたりして、風味と満足感をプラスしましょう。
共通編:タンパク質や野菜と一緒に「食べ順」も意識する
お米とパスタ、どちらを食べる場合でも共通して効果的なのが、「食べる順番」を意識することです。いわゆる「ベジファースト」や「カーボラスト」と呼ばれる食事法で、炭水化物(お米やパスタ)を最後に食べるようにします。
食事の最初に、まず野菜やきのこ、海藻類などが入ったサラダやスープから食べ始めましょう。これらに含まれる食物繊維が、後から入ってくる糖や脂質の吸収を穏やかにしてくれます。次に、肉、魚、卵、大豆製品などのタンパク質のおかずを食べます。タンパク質は消化に時間がかかり、満腹感を持続させる効果があります。
そして最後に、主食であるご飯やパスタを食べる。こうすることで、血糖値の急上昇を効果的に抑えることができ、インスリンの過剰な分泌を防ぎます。結果として、食後の眠気や、その後の急な空腹感を抑えることにつながるのです。この食べ順は、腹持ちを良くするだけでなく、ダイエットや健康維持においても非常に有効な方法です。
共通編:とにかく「よく噛んでゆっくり食べる」
最もシンプルで、最も効果的な方法が「よく噛んで、ゆっくり時間をかけて食べる」ことです。当たり前のことのように聞こえますが、忙しい現代人にとっては意外と難しい習慣かもしれません。
目安として、一口あたり30回は噛むことを意識してみてください。よく噛むことで、食べ物が細かくなり、唾液とよく混ざり合って消化を助けます。それだけでなく、噛むという行為そのものが脳の満腹中枢を刺激し、「お腹がいっぱいになってきた」という信号を送ってくれます。
早食いをすると、この信号が届く前に食べ過ぎてしまい、後から苦しくなったり、満足感が得られずにすぐお腹が空いたりします。食事時間は最低でも20分以上かけることを目標に、一口ごとに箸やフォークを置く習慣をつけるのも良い方法です。意識してゆっくり味わって食べることで、少量でも満足感が得られ、腹持ちの良さを実感できるはずです。
- お米は白米より、食物繊維が豊富な玄米や雑穀米を選ぶ。
- パスタは全粒粉タイプを選び、きのこや野菜などの具材をたっぷり加える。
- 「野菜・タンパク質→炭水化物」の食べ順を意識し、血糖値の急上昇を防ぐ。
- 一口30回を目安によく噛み、20分以上かけてゆっくり食べる。
ダイエットや目的に合わせた主食の選び分け
お米とパスタ、それぞれの特性と腹持ちを良くする食べ方が分かったところで、最後はあなたの目的やシーンに合わせた賢い選び分けについて考えてみましょう。どちらが良い・悪いではなく、時と場合に応じて最適な主食を選ぶことが、健康的な食生活につながります。
しっかりエネルギー補給したい運動前なら?
これから運動をする、あるいは体を動かす仕事があるという場面では、速やかにエネルギーに変わる糖質が必要です。このような場合は、「白米」や「通常のパスタ」が適しています。
特に、運動の2〜3時間前に食事を摂るなら、消化が良く、エネルギー源となる糖質が豊富なおにぎりや、シンプルな味付けのうどんなどがおすすめです。
もし運動まで1時間程度しかない場合は、消化に時間がかかる脂質や食物繊維が多い食事は避けたいところ。その場合は、バナナやエナジーゼリーなど、さらに消化吸収の速いものを選びましょう。
逆に、長時間の運動や登山など、エネルギーを持続させる必要がある場合は、血糖値の上昇が緩やかで持続力のある玄米や、全粒粉パスタに良質なオイルを合わせたものなども選択肢になります。自分の活動内容と食事のタイミングを考えて選ぶことが重要です。
午後の眠気を避けたいランチには?
ランチの後に、強烈な眠気に襲われて仕事や勉強に集中できない…という経験は誰にでもあるはず。この食後の眠気の主な原因は、血糖値の急上昇とその後の急降下(血糖値スパイク)です。
これを避けるためには、血糖値の上昇が穏やかな食事を心がけることが大切です。したがって、ランチにはGI値の低い「パスタ(特に全粒粉)」や「玄米」がおすすめです。
パスタを選ぶ際は、クリーム系よりも、野菜やきのこがたっぷり入ったトマトソースやペペロンチーノなどを選ぶと良いでしょう。オリーブオイルに含まれる良質な脂質は、血糖値の上昇をさらに緩やかにしてくれます。
お米を選ぶなら、白米ではなく玄米や雑穀米のお弁当が理想的です。そして、どちらを食べる場合でも、必ず「ベジファースト」を実践し、野菜やタンパク質のおかずから食べるようにしましょう。この一工夫で、午後のパフォーマンスが大きく変わるはずです。
食物繊維をしっかり摂って腸活したいなら?
便秘の改善や腸内環境を整える「腸活」を意識しているなら、積極的に食物繊維を摂ることが何よりも重要です。主食から食物繊維を摂るなら、選択肢は明確です。
お米なら「玄米」や「もち麦ごはん」が最適です。特に水溶性食物繊維が豊富なもち麦は、腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える効果が高いことで知られています。
パスタを選ぶなら、迷わず「全粒粉パスタ」を選びましょう。全粒粉パスタに、きのこやごぼう、豆類など、食物繊維が豊富な食材を組み合わせれば、一皿でかなりの量の食物繊維を摂取することができます。
白米や通常のパスタは、食物繊維の含有量が少ないため、腸活という観点からは少し物足りません。主食を食物繊維が豊富なものに切り替えるだけで、日々の食事の栄養価がぐっと高まり、腸から健康を目指すことができます。
- 運動前のエネルギー補給には、消化の良い白米や通常のパスタが適している。
- 午後の眠気を避けたいランチには、GI値の低い玄米やパスタを選ぶ。
- 腸活を意識するなら、食物繊維が豊富な玄米、もち麦、全粒粉パスタが最適。
まとめ:米とパスタの腹持ちを理解して、賢く食生活に取り入れよう

今回は、「米とパスタの腹持ち」をテーマに、その違いや理由、そして賢い食べ方について詳しく解説しました。
最後に、この記事のポイントを振り返ってみましょう。
- 一般的に、お米(ご飯)の方がパスタよりも腹持ちが良いとされています。
- 腹持ちは「消化吸収のスピード」と「血糖値の変動」に大きく左右されます。
- 栄養面では、パスタはGI値が低くタンパク質が豊富、お米は調理後のカロリーが比較的低いという特徴があります。
- 腹持ちを良くするには、玄米や全粒粉パスタを選び、食物繊維やタンパク質と一緒に、よく噛んでゆっくり食べることが重要です。
- 活動前のエネルギー補給、午後の眠気防止、腸活など、目的に合わせて主食を選ぶことで、より健康的な食生活を送ることができます。
お米とパスタ、どちらか一方が優れているというわけではありません。それぞれの特性を正しく理解し、自分の体調やライフスタイルに合わせて上手に付き合っていくことが大切です。この記事が、あなたの毎日の主食選びのヒントになれば幸いです。



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