愛犬が、飼い主さんの食べているパスタを欲しそうに見つめてくる…そんな経験はありませんか?「少しだけなら大丈夫かな?」と、ついおすそ分けしたくなる気持ちはよく分かります。しかし、人間にとっては美味しいパスタも、犬にとっては注意が必要な食べ物です。
この記事では、犬にパスタを与えることの是非、与える際の具体的な注意点、アレルギーのリスク、そして万が一の対処法まで、詳しく解説していきます。また、愛犬が安心して食べられる手作りパスタのレシピもご紹介します。 愛犬の健康を守りながら、食事の時間をより豊かなものにするための知識を、一緒に学んでいきましょう。
パスタを犬に与える前に知っておきたい基本

犬にパスタを与えることは、一概に「良い」「悪い」と言えるものではありません。まずは、与えても良い場合の条件や、パスタの成分が犬の体にどう影響するのかといった基本的な知識をしっかりと押さえておくことが大切です。このセクションでは、犬にパスタを与える上での大前提となるポイントを解説します。
結論:パスタは犬に与えても大丈夫?
結論から言うと、味付けをしていないプレーンなパスタであれば、犬に与えても基本的には問題ありません。 パスタの主原料である小麦は、犬にとって毒となる成分は含まれていないためです。そのため、おやつやごはんのトッピングとして、少量を取り入れることができます。
しかし、「問題ない」からといって、人間と同じように与えて良いわけでは決してありません。いくつかの重要な注意点を守ることが、愛犬の健康を守る上で不可欠です。 例えば、パスタの原料である小麦にアレルギーを持っている犬には、与えてはいけません。
また、与える量や硬さ、味付けにも細心の注意が必要です。 特に人間用に調理されたパスタは、塩分や油分が過剰なだけでなく、玉ねぎやニンニクといった犬にとって中毒を引き起こす食材が含まれている可能性が非常に高いため、絶対にあげてはいけません。 このように、犬にパスタを与える際は、あくまで「犬用」として特別に準備し、正しい知識を持って安全に配慮することが大前提となります。
パスタの主成分と犬への影響
パスタの主原料はデュラム小麦のセモリナという小麦粉です。主な栄養素は炭水化物で、これは犬にとっても重要なエネルギー源となります。 炭水化物は、犬が活動的に過ごすための力となり、適度な摂取は健康維持に役立ちます。また、タンパク質やビタミン、ミネラルなども少量ながら含まれています。
ただし、良い面ばかりではありません。最も注意すべきなのがグルテンです。グルテンは小麦などの穀物に含まれるタンパク質の一種で、これがアレルギーの原因となることがあります。 犬が小麦アレルギーを持っている場合、パスタを食べることで皮膚のかゆみ、下痢、嘔吐といった症状を引き起こす可能性があります。 また、炭水化物の摂りすぎは肥満の元です。パスタは高カロリーな食材であるため、日常的に与えすぎると体重増加につながり、関節への負担や糖尿病などのリスクを高めることになります。 あくまでもおやつやご褒美として、特別な時に少量与える程度に留めるのが賢明です。愛犬の健康を第一に考え、パスタの栄養面でのメリットとデメリットを正しく理解しておきましょう。
与える際に注意すべき犬の健康状態
パスタを与える前には、愛犬の健康状態をしっかりと確認することが大切です。特に、以下のような健康上の懸念がある場合は、パスタを与えるのは避けるか、事前に獣医師に相談することをおすすめします。
第一に、小麦アレルギーを持っている、またはその疑いがある犬です。 前述の通り、パスタの主原料は小麦であるため、アレルギーを持つ犬に与えると、皮膚の痒み、赤み、消化不良(下痢や嘔吐)などのアレルギー症状を引き起こす可能性があります。 これまでに小麦を含む食品で体調を崩したことがある場合は、絶対に与えないでください。
第二に、糖尿病を患っている、あるいはその予備軍である犬です。 パスタは炭水化物が多く、食後の血糖値を急激に上昇させる可能性があります。 糖尿病の犬にとって血糖値のコントロールは非常に重要であり、パスタを与えることで病状を悪化させてしまう危険性があります。
第三に、肥満気味の犬や、体重管理が必要な犬です。パスタはカロリーが高いため、体重が増えやすい犬にとっては、さらなる肥満の原因となります。 減量中の場合は、パスタを与えるのは避けましょう。
これらの他にも、消化器系が弱い犬や、何らかの持病で食事制限がある犬、高齢で運動量が落ちている犬なども注意が必要です。愛犬の健康状態に少しでも不安がある場合は、自己判断で与えるのではなく、必ずかかりつけの獣医師に相談するようにしてください。
犬にパスタを与える際の具体的な注意点

安全にパスタを与えるためには、量や調理方法に細やかな配慮が必要です。ただ茹でて与えれば良いというわけではありません。ここでは、実際に与える際の具体的な注意点を「量」「調理法」「味付け」の3つの観点から詳しく見ていきましょう。
与えても良いパスタの量
犬にパスタを与える際に最も重要なことの一つが、与える量を厳密に守ることです。パスタはあくまでおやつや食事のトッピングという位置づけであり、主食にはなりません。 与えすぎは肥満や栄養バランスの乱れを引き起こす原因となります。
一般的に、犬に与えるおやつの量は、1日の総摂取カロリーの10%以内が理想とされています。 パスタ(乾麺)のカロリーは100gあたり約380kcalと高めです。これを茹でると水分を含んで重さは約2.5倍になりますが、カロリー自体は変わりません。
具体的な量の目安を以下の表に示します。これはあくまで健康な成犬の場合の最大量であり、犬の年齢、運動量、体質によって調整が必要です。
| 犬の体重 | 1日に与えても良いパスタの目安(茹でた状態) |
|---|---|
| 超小型犬(〜4kg) | 約10g(フォークにひと巻き程度) |
| 小型犬(〜10kg) | 約20g |
| 中型犬(〜25kg) | 約40g |
| 大型犬(〜40kg) | 約60g |
少量を与えてみて、翌日以降に下痢や嘔吐、皮膚のかゆみなど、体調に変化がないかを確認することが重要です。 特に問題がなければ、少しずつ量を調整していくと良いでしょう。パスタは毎日与えるのではなく、特別な日のお楽しみとして、たまに少量を与える程度に留めておくのが最も安全です。
パスタの硬さと調理方法
犬にパスタを与える際の調理方法にも、いくつか重要なポイントがあります。まず、パスタを茹でる際は、人間用よりもずっと柔らかく茹でることを心がけてください。犬は人間のように食べ物をよく噛まずに飲み込んでしまう習性があります。そのため、アルデンテのような芯が残った硬さのパスタを与えると、喉に詰まらせたり、消化不良を起こしたりする原因となります。 茹で時間の目安は、パッケージに記載されている時間よりも長く、十分に柔らかくなるまで加熱しましょう。
次に、パスタの長さです。スパゲッティのような長いパスタは、そのまま与えると喉に詰まらせる危険性が高まります。必ず1〜2cm程度の長さに細かく刻んでから与えるようにしてください。 マカロニやペンネのようなショートパスタの場合でも、大きいものは半分にカットするなど、愛犬の口の大きさに合わせて調整するとより安全です。
そして最も大切なのが、調理の際に塩や油を一切加えないことです。 人間がパスタを茹でる際には、塩を入れたり、茹で上がった後にオリーブオイルを絡めたりすることがありますが、これらは犬にとって塩分や脂肪分の過剰摂取につながります。 犬に必要な塩分はドッグフードに十分含まれているため、追加で摂取する必要はありません。茹でる際は、何も加えていない真水で茹でるように徹底してください。
味付けは絶対NG!その理由とは
犬にパスタを与える際、人間用の味付けをすることは絶対にやめてください。 これには、はっきりとした理由があります。人間用に市販されているパスタソースや、家庭で作る味付けには、犬にとって非常に有害な成分が含まれていることがほとんどだからです。
代表的な危険な食材として、玉ねぎ、長ネギ、ニラ、ニンニクなどが挙げられます。 これらはネギ類に含まれる有機チオ硫酸化合物が、犬の赤血球を破壊し、貧血(タマネギ中毒)を引き起こす可能性があります。 加熱しても毒性は消えないため、ソースに煮込まれている場合でも非常に危険です。ミートソースやナポリタン、ペペロンチーノなど、多くのパスタソースにこれらの食材が使われています。
また、塩分、糖分、脂肪分の過剰摂取も大きな問題です。 人間用のソースは、犬にとっては塩分や脂肪分が過剰であり、腎臓や心臓に大きな負担をかける原因となります。香辛料などの刺激物も、犬の消化器官を刺激し、下痢や嘔吐を引き起こす可能性があります。さらに、コンソメやブイヨンといった加工調味料にも、犬には不要な塩分や添加物が含まれていることが多いです。 愛犬の健康を守るため、「少しだけなら」という安易な気持ちで味付けされたパスタを与えることは絶対にせず、必ず味付けなしのプレーンな状態で与えるようにしてください。
危険!犬に与えてはいけないパスタの種類

人間にとっては美味しいパスタでも、犬にとっては命に関わる危険なものがたくさんあります。特に人間用に調理されたパスタには注意が必要です。この章では、犬に絶対与えてはいけないパスタソースの材料や具材、加工品のリスクについて解説します。
人間用のパスタソースに含まれる危険な食材
前述の通り、人間用に作られたパスタソースは、犬にとって「毒の塊」とも言えるほど危険な食材の宝庫です。 具体的にどのような食材が危険なのか、代表的なものを以下にまとめました。愛犬の命を守るためにも、これらの食材が含まれたパスタは絶対に与えないでください。
| 危険な食材 | 危険な理由 | よく使われるパスタソース |
|---|---|---|
| 玉ねぎ・長ネギ・ニラ | 赤血球を破壊し、貧血や血尿を引き起こす(タマネギ中毒)。加熱しても毒性は消えない。 | ミートソース、ナポリタン、ボンゴレなど |
| ニンニク | 玉ねぎと同様に赤血球を破壊する。玉ねぎより毒性は強いとされる。 | ペペロンチーノ、トマトソース、ガーリックシュリンプパスタなど |
| チョコレート・ココア | テオブロミンという成分が中毒症状(嘔吐、下痢、興奮、痙攣など)を引き起こす。 | デザート系のパスタ、隠し味として |
| アルコール | 少量の摂取でも急性アルコール中毒になる危険性がある。 | フランベ(香り付け)やソースの材料として(赤ワイン煮込みなど) |
| マカダミアナッツ | 中毒症状(嘔吐、ふらつき、高熱など)を引き起こす。原因物質は特定されていない。 | ジェノベーゼソース、トッピングとして |
| ブドウ・レーズン | 急性腎不全を引き起こす可能性があり、非常に危険。 | サラダパスタ、デザート系のパスタのトッピング |
特に玉ねぎやニンニクは、パウダーやエキスとしてソースに含まれていることも多いため、原材料表示をよく確認することが重要です。しかし、最も安全なのは、初めから人間用のパスタソースは犬に与えないと徹底することです。
パスタと一緒に与えがちなNGな具材
パスタソースだけでなく、パスタの具材として使われる食材の中にも、犬に与えてはいけないものが多く存在します。飼い主さんが良かれと思ってトッピングしたものが、実は愛犬の健康を害してしまうこともあります。
例えば、きのこ類です。スーパーで売られている多くのきのこは犬が食べても問題ないとされていますが、中には中毒を引き起こす種類もあります。見分けが難しいため、安易に与えるのは避けた方が賢明です。特に、野生のきのこは絶対に与えてはいけません。
また、アボカドも危険です。「ペルシン」という成分が含まれており、犬が摂取すると嘔吐や下痢などの中毒症状を起こすことがあります。クリーミーなソースの材料として使われることがあるため注意が必要です。
加工肉(ベーコン、ソーセージ、ハムなど)も避けるべき具材です。これらは塩分や脂肪分が非常に高いだけでなく、保存料や香辛料などの添加物が多く含まれています。犬にとっては過剰な摂取となり、膵炎などの病気を引き起こすリスクがあります。
さらに、貝類や甲殻類(エビ、カニ、イカ、タコなど)も注意が必要です。これらは消化が悪く、アレルギーの原因となることもあります。特に生のものは食中毒のリスクもあるため、与えるべきではありません。加熱したものであっても、消化不良やアレルギー症状が出ないか注意深く観察する必要があります。安全を期すのであれば、これらの食材は避け、後述する犬が食べても安全な食材を選ぶようにしましょう。
加工されたパスタ製品のリスク
スーパーなどでは、茹でるだけの生パスタや、冷凍パスタ、レトルトのパスタソースなど、手軽に調理できる加工されたパスタ製品が数多く販売されています。これらの製品は非常に便利ですが、犬に与えることは絶対に避けてください。
これらの加工製品には、味を調えたり、品質を保ったりするために、犬には不要、あるいは有害な添加物が多く含まれている可能性があります。例えば、保存料、着色料、香料、化学調味料などです。これらの添加物は、犬の体にどのような影響を与えるか分かっておらず、アレルギーや内臓への負担の原因となることも考えられます。
また、生パスタの中には、卵や塩分が練りこまれている製品もあります。 卵アレルギーのある犬には与えられませんし、塩分も過剰摂取につながります。冷凍パスタやレトルト食品は、言うまでもなく人間用に濃い味付けがされており、前述したような危険な食材(玉ねぎエキスなど)が使われていることがほとんどです。
「原材料がシンプルそうだから大丈夫だろう」と安易に判断するのは非常に危険です。パッケージの裏に記載されている原材料表示を細かく確認したとしても、犬にとって安全かどうかを一般の飼い主さんが完璧に判断するのは困難です。愛犬の健康を守るためには、こうした人間用の加工食品に頼るのではなく、犬に与える場合は必ずプレーンな乾燥パスタを、何も加えずに茹でてあげるという基本を徹底することが最も重要です。
愛犬が喜ぶ!安全な手作りパスタレシピ

注意点を理解した上で、愛犬のために安全なパスタを手作りしてみませんか。 ここでは、基本的な作り方から、栄養満点のおすすめトッピング、さらにはアレルギーを持つ犬のための代替案まで、具体的なレシピをご紹介します。
準備するものと基本的な作り方
愛犬のために安全なパスタを作るのは、実はとても簡単です。特別な材料は必要なく、犬が食べても安全な食材だけで、美味しくて栄養のある一品を作ることができます。
【準備するもの】
- 乾燥パスタ(スパゲッティ、マカロニなど): 添加物のない、小麦粉と水だけで作られたシンプルなものを選びましょう。
- 犬が食べられる野菜: 例)ブロッコリー、にんじん、かぼちゃ、さつまいも、キャベツなど
- タンパク源: 例)鶏ささみ、鶏むね肉(皮なし)、脂肪の少ない赤身肉、鮭など
- 水
【基本的な作り方】
- 食材の下準備:
- 野菜は犬が食べやすいように、細かくみじん切りにするか、柔らかく茹でてからペースト状にします。
- 鶏ささみなどのタンパク源は、茹でるか蒸して加熱し、細かくほぐしておきます。茹で汁は後で使うので取っておきましょう。
- パスタを茹でる:
- 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、パスタを入れます。この時、塩は絶対に入れないでください。
- パッケージの表示時間よりも長く、十分に柔らかくなるまで茹でます。
- 茹で上がったらザルにあけ、犬が食べやすいように1〜2cmの長さに細かく刻みます。
- 混ぜ合わせる:
- 刻んだパスタ、準備しておいた野菜とタンパク源をボウルに入れます。
- 鶏ささみの茹で汁を少量加えて混ぜ合わせると、風味が増し、水分補給にもなります。パサつきがちなパスタが食べやすくなる効果もあります。
- 冷ましてから与える:
- 必ず人肌程度に冷ましてから与えてください。熱いまま与えると、犬がやけどをしてしまいます。
これで、無添加で安全な犬用パスタの完成です。この基本の作り方をベースに、次のステップでご紹介する様々なトッピングを加えてアレンジを楽しむことができます。
おすすめのトッピング食材
基本的な犬用パスタに、栄養と彩りをプラスするおすすめのトッピング食材をご紹介します。これらの食材を加えることで、愛犬の食いつきもさらにアップするはずです。 与える際は、必ず加熱し、細かく刻むかペースト状にして、消化しやすくしてあげましょう。
【野菜類】
- ブロッコリー: ビタミンB群、ビタミンC、βカロテンが豊富です。茎の部分は硬いので、穂先の柔らかい部分を使うと良いでしょう。
- にんじん: βカロテンが豊富で、目や皮膚の健康維持に役立ちます。必ず加熱して、甘みを引き出してあげましょう。
- かぼちゃ・さつまいも: 甘みが強く、犬が好む食材です。 食物繊維も豊富ですが、与えすぎると便が緩くなることがあるので少量にしましょう。種や皮は取り除いてください。
- キャベツ: ビタミンU(キャベジン)が含まれ、胃腸の粘膜を保護する働きが期待できます。柔らかく茹でてから与えましょう。
【タンパク質類】
- 鶏ささみ・鶏むね肉(皮なし): 高タンパク・低脂肪で、犬のご飯の定番食材です。必ず加熱し、骨は取り除いてください。
- 鮭: オメガ3脂肪酸が豊富で、皮膚や被毛の健康維持に役立ちます。骨は危険なので完全に取り除き、加熱してから与えましょう。
- プレーンヨーグルト(無糖): カルシウムや乳酸菌が豊富で、腸内環境を整えるのに役立ちます。乳糖不耐症の犬もいるので、最初はごく少量から試してください。
- カッテージチーズ(無塩): タンパク質とカルシウムを手軽に補給できます。塩分が含まれていないものを選びましょう。
これらの食材を組み合わせることで、栄養バランスも見た目も豊かな一皿になります。 愛犬のアレルギーや好みに合わせて、色々な組み合わせを試してみてください。
アレルギーが心配な犬向けの代替案
愛犬が小麦アレルギーを持っている場合や、グルテンを避けたいと考えている飼い主さんには、小麦粉以外の原料で作られたパスタや、パスタ以外の食材で代用する方法があります。 これらの代替案を取り入れることで、アレルギーの心配なく、愛犬と一緒に麺料理の雰囲気を楽しむことができます。
【グルテンフリーのパスタ】
最近では、小麦以外の原料で作られたグルテンフリーのパスタがスーパーなどで手軽に手に入るようになりました。
- 米粉パスタ: お米から作られており、もちもちとした食感が特徴です。アレルギーのリスクが比較的低いとされています。
- とうもろこし粉パスタ: とうもろこしから作られており、ほんのりとした甘みがあります。
- キヌアパスタ: スーパーフードとして知られるキヌアを使ったパスタで、栄養価が高いのが魅力です。
これらのグルテンフリーパスタを使用する場合も、人間用の製品には塩分などが添加されていることがあるため、原材料をよく確認し、シンプルなものを選びましょう。調理方法は通常のパスタと同様に、味付けなしで柔らかく茹で、細かく刻んでから与えてください。
【パスタ以外の代替食材】
パスタの代わりに、細長く切った野菜などを麺に見立てて使う方法もあります。
- 細切りにした野菜: にんじんやズッキーニ、大根などをピーラーで薄くスライスしたり、細切りにしたりして、さっと茹でるとパスタのようになります。炭水化物の摂りすぎが気になる犬にもおすすめです。
- しらたき・春雨: しらたきはこんにゃく芋、春雨は緑豆やじゃがいものでんぷんから作られています。非常に低カロリーですが、消化しにくい側面もあるため、与える際は細かく刻み、ごく少量に留めましょう。
これらの代替案を活用すれば、小麦アレルギーのある愛犬も、安全に「パスタ風ごはん」を楽しむことができます。愛犬の体質に合った食材を選んで、手作りごはんのレパートリーを広げてみてください。
もしも犬がパスタを盗み食いしてしまったら
細心の注意を払っていても、思わぬ事故で愛犬が人間用のパスタを盗み食いしてしまうことがあるかもしれません。 万が一の事態に備え、冷静に対処するための知識を身につけておきましょう。ここでは、盗み食いしてしまった際の確認事項や対処法を解説します。
まず確認すべきこと
愛犬がテーブルの上などに置いてあった人間用のパスタを盗み食いしてしまった場合、飼い主さんは慌ててしまうかもしれませんが、まずは落ち着いて状況を確認することが重要です。以下の点を冷静にチェックしてください。
- 何を食べたか?: パスタの種類(乾麺か、茹でたものか)、そして最も重要なのがソースや具材の種類です。ミートソース、ペペロンチーノ、クリームソースなど、ソースの種類によって危険度が大きく異なります。特に、玉ねぎ、ニンニク、チョコレートなど、犬にとって毒性の高いものが含まれていないかを確認します。 レトルトソースなどの場合は、パッケージの原材料表示を確認しましょう。
- いつ食べたか?: 盗み食いしてからどれくらいの時間が経過しているかを確認します。症状が出るまでの時間や、動物病院での処置(催吐処置など)の判断材料となります。
- どれくらいの量を食べたか?: 食べた量が多ければ多いほど、リスクは高まります。お皿を舐めた程度なのか、一人前をほとんど食べてしまったのか、可能な限り正確に把握しましょう。
- 愛犬の様子はどうか?: 食べた直後に変わった様子はないか、嘔吐や下痢、元気がない、よだれが多い、呼吸が荒いなどの症状が出ていないかを注意深く観察します。
自己判断で様子を見たり、無理に吐かせようとしたりするのは危険です。 特に、塩を飲ませて吐かせるという民間療法は、塩分中毒を引き起こす可能性があり非常に危険なので絶対に行わないでください。獣医師に電話で的確に状況を伝えることが、迅速で適切な処置につながります。
見られる可能性のある症状
人間用のパスタを盗み食いしてしまった場合、含まれていた成分によって様々な症状が現れる可能性があります。症状は食べた直後に出ることもあれば、数時間後、あるいは1〜2日経ってから現れることもあります。
【消化器系の症状】
- 嘔吐・下痢: 油分や香辛料、犬が消化しにくい食材によって引き起こされます。最もよく見られる症状の一つです。
- 食欲不振・元気消失: 胃腸の調子が悪くなることで、ぐったりしたり、食欲がなくなったりします。
- 急性膵炎: 大量の脂肪分を摂取したことが引き金となり、激しい腹痛や嘔吐を伴う膵炎を発症することがあります。命に関わることもある危険な状態です。
【中毒による症状】
- タマネギ中毒(玉ねぎ、ニンニクなど): 食べた後、数時間から数日経ってから症状が出ることがあります。歯茎が白っぽくなる(貧血)、ぐったりする、呼吸が速くなる、赤色や褐色の尿(血尿)が出る、といった症状が見られます。
- チョコレート中毒: 落ち着きがなくなる、興奮する、パンティング(ハアハアと激しい呼吸をする)、痙攣などを引き起こします。
【その他の症状】
- 喉に詰まらせる: 慌てて食べたことで、よく噛まずに飲み込み、パスタが喉や食道に詰まってしまうことがあります。呼吸困難や、よだれを大量に出すなどの症状が見られます。
- アレルギー症状: 小麦アレルギーのある犬の場合、体をかゆがる、皮膚が赤くなるなどの症状が出ることがあります。
これらの症状が一つでも見られた場合は、たとえ食べた量が少なくても、すぐに動物病院を受診してください。特に中毒症状や急性膵炎は、治療が遅れると命に関わるため、迅速な対応が求められます。
動物病院を受診するタイミング
犬がパスタを盗み食いしてしまった際、どのような場合に動物病院を受診すべきか、そのタイミングについて解説します。基本的には、自己判断せずに、まずは動物病院に電話で連絡し、指示を仰ぐのが最も安全です。
【すぐに受診すべきケース】
以下のような状況では、夜間や休日であっても、救急対応している動物病院をすぐに受診する必要があります。
- 玉ねぎ、ニンニク、チョコレート、ブドウなど、犬にとって毒性の高いものを食べたことが確実な場合。
- 食べた量が多い場合(特に小型犬の場合)。
- 食べた直後から、嘔吐や下痢を繰り返す、ぐったりしている、呼吸が苦しそう、痙攣しているなど、明らかに異常な症状が見られる場合。
- 喉に詰まらせている可能性がある場合。
- 持病(糖尿病、腎臓病、膵炎など)がある犬が食べてしまった場合。
【電話で相談し、指示を仰ぐケース】
- 食べたものや量がはっきりしないが、何かを盗み食いした形跡がある場合。
- 食べたものはプレーンなパスタ少量で、特に危険なものは含まれていないと思われるが、心配な場合。
- 現在は症状が出ていないが、数時間前に危険なものを食べた可能性がある場合。
動物病院に連絡する際は、前述した「いつ、何を、どれくらいの量食べたか」そして「現在の犬の様子」を正確に伝えられるように準備しておきましょう。獣医師は、その情報をもとに、すぐに病院に来るべきか、家で様子を見るべきか、あるいは家庭でできる応急処置があるかを判断してくれます。たとえ症状が出ていなくても、食べたものによっては体内で中毒が進行している可能性もあります。「元気そうだから大丈夫」と安易に考えず、専門家である獣医師の判断を仰ぐことが、愛犬の命を守るために最も重要なことです。
まとめ:愛犬とパスタを安全に楽しむために

この記事では、犬にパスタを与える際の注意点や、安全なレシピについて詳しく解説してきました。
要点をまとめると以下のようになります。
- 味付けをしていないプレーンなパスタであれば、犬に与えても基本的には問題ありません。
- しかし、小麦アレルギーや糖尿病、肥満気味の犬には与えないようにしましょう。
- 与える際は、1日の摂取カロリーの10%以内を目安に、ごく少量に留めてください。
- 調理する際は、塩や油を入れずに、人間用よりも柔らかく茹で、細かく刻んでから与えることが重要です。
- 玉ねぎやニンニクが含まれる人間用のパスタソースは絶対にNGです。 盗み食いにも細心の注意を払いましょう。
パスタは犬にとって必ずしも必要な食べ物ではありませんが、正しい知識を持って安全に配慮すれば、愛犬とのコミュニケーションを深める特別なおやつになります。愛犬の体調や体質を第一に考え、もし与える場合は手作りの安全なものを、特別なご褒美として楽しんでください。



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