離乳食を進めていく中で、お米以外にもさまざまな主食にチャレンジさせてあげたいと考えるママ・パパは多いのではないでしょうか。その中でも「パスタ」は大人も子どもも大好きなメニューですが、赤ちゃんにはいつから、どのように与えればいいのか悩みますよね。
この記事では、離乳食初期の赤ちゃんにパスタを与える際のポイントを詳しく解説します。開始の目安となる時期や、月齢に合わせた調理方法、そして気になる小麦アレルギーについても触れていきます。初めてのパスタを赤ちゃんが美味しく、そして安全に食べられるように、調理のコツや簡単なレシピもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。赤ちゃんの「おいしい!」という笑顔を引き出すお手伝いができれば幸いです。
パスタは離乳食初期からOK?始める時期と進め方

離乳食のメニューの幅を広げてくれるパスタ。いつから始められるのか、どのように進めていけばよいのか、気になりますよね。ここでは、パスタを開始する時期の目安と、安全な進め方について詳しく解説します。
離乳食初期(ゴックン期)とはいつから?
離乳食初期、いわゆる「ゴックン期」は、生後5〜6ヶ月頃が目安です。この時期の赤ちゃんは、母乳やミルク以外の食べ物に慣れるのが一番の目的。よだれの量が増えたり、大人の食事に興味を示したりする様子が見られたら、離乳食開始のサインかもしれません。
初めは1日1回、1さじからスタートし、なめらかにすりつぶしたポタージュ状のものを飲み込む練習をしていきます。この時期の主食は、アレルギーの心配が少なく、消化しやすい10倍がゆが基本となります。まずは、おかゆや野菜のペーストに慣れることからゆっくり始めましょう。
パスタはいつから与えられる?中期(モグモグ期)からが安心
では、パスタはいつから与えられるのでしょうか。多くの専門家が推奨しているのは、離乳食中期(生後7〜8ヶ月頃)からです。 その理由は、パスタをなめらかなペースト状にすりつぶすのが難しいためです。 中期になると、赤ちゃんは舌で食べ物をつぶして「モグモグ」する練習を始めます。この時期であれば、やわらかく茹でて細かく刻んだパスタを食べられるようになります。
うどんなどの他の小麦製品に慣れた後にパスタへステップアップすると、よりスムーズに進められるでしょう。 赤ちゃんの発達には個人差があるため、焦らず、赤ちゃんのペースに合わせて進めてあげることが大切です。
初期から試す場合の注意点と進め方のステップ
もし離乳食初期の後半(生後6ヶ月頃)からパスタを試したい場合は、いくつかの注意点を守る必要があります。
少量から始める: まずはアレルギーの確認のため、耳かき1さじ程度のごく少量からスタートします。
なめらかなペースト状に: パスタを表示時間よりもかなり長く、くたくたになるまで茹で、すり鉢ですりつぶすか、裏ごしをしてなめらかなペースト状にします。 お湯やだし汁、野菜スープなどでゆるめて、赤ちゃんが飲み込みやすいように調整しましょう。
アレルギーに注意: パスタの原料である小麦は、アレルギー表示が義務付けられている「特定原材料」です。 初めて与える際は、万が一アレルギー症状が出た場合に備え、小児科が開いている平日の午前中に試すようにしましょう。
他の食材と混ぜない: 初めての食材は、アレルギーの原因を特定しやすくするために、単体で与えるのが基本です。
赤ちゃんの様子をよく観察し、口の中に湿疹が出たり、下痢や嘔吐などの症状が見られたりした場合は、すぐに与えるのを中止し、かかりつけの小児科医に相談してください。
離乳食パスタの選び方
赤ちゃんに与えるパスタは、どのようなものを選べばよいのでしょうか。大人用のものでも代用できるのか、それともベビー用の特別なものが必要なのか、迷ってしまいますよね。ここでは、離乳食に適したパスタの選び方について、いくつかのポイントをご紹介します。
ベビー用パスタがおすすめな理由
離乳食用に作られたベビー用パスタは、初めてのパスタに最もおすすめです。 ベビー用パスタには、以下のようなメリットがあります。
- 塩分不使用: 大人のパスタには製造過程で塩分が含まれていることがありますが、ベビー用パスタは塩分不使用で作られているものがほとんどです。 赤ちゃんの未熟な腎臓に負担をかけないためにも、塩分不使用の製品は安心です。
- 短いカット: あらかじめ1〜2cm程度に短くカットされているので、茹でた後に刻む手間が省け、調理の時短になります。
- 茹で時間が短い: 細くて短いものが多く、茹で時間が短く済むように作られています。
栄養面を考えて、鉄分やカルシウムなどが添加されている製品もあり、離乳期に不足しがちな栄養素を補えるのも嬉しいポイントです。
大人のパスタを使う場合のポイント(種類と塩分)
もちろん、大人用のパスタを離乳食に使うことも可能です。その場合は、いくつかのポイントを押さえておきましょう。
- 原材料がシンプルなものを選ぶ: 原材料が「デュラム小麦のセモリナ」と水だけの、シンプルなものを選びましょう。 卵が含まれているパスタは、アレルギーの原因が小麦か卵か分かりにくくなるため、初めのうちは避けるのが無難です。
- 細い麺を選ぶ: 「カッペリーニ」や「バーミセリ」といった、そうめんのように細いタイプのパスタは、火の通りが早く、やわらかくなりやすいので離乳食に向いています。
- 塩分に注意する: 大人用のパスタには塩分が含まれているため、茹でる際には塩を入れずに調理します。 茹で上がった後、さっと水で洗うと表面の塩分を多少取り除くことができます。
そうめんやうどんでも代用できる?
パスタと同じ小麦製品である、そうめんやうどんも離乳食で活躍する食材です。特に、やわらかく茹でやすいうどんは、小麦製品を初めて試す際に適しています。
そうめんは、塩分が多く含まれている製品が多いため、使用する際は表示をよく確認し、くたくたに茹でた後にしっかりと流水で洗い、塩抜きをしてから使うようにしましょう。
マカロニもパスタの一種で、中期以降になれば離乳食に使えます。 手づかみ食べが始まる後期(9〜11ヶ月頃)には、赤ちゃんが自分で持ちやすい形状のマカロニもおすすめです。 どの麺類を使う場合でも、アレルギーに注意しながら、赤ちゃんの成長に合わせて形状や固さを調整してあげることが大切です。
【月齢別】離乳食パスタの調理方法

赤ちゃんの成長はとても早いもの。昨日までできなかったことが、今日にはできるようになっていることも珍しくありません。離乳食も同様に、赤ちゃんの「食べる力」の発達に合わせて、食材の固さや大きさを変えていくことが重要です。ここでは、パスタを調理する際の月齢別のポイントをご紹介します。
初期(5〜6ヶ月)の調理法:ペースト状が基本
前述の通り、基本的には中期からの開始が推奨されますが、もし初期の後半から試す場合は、なめらかなペースト状にすることが絶対条件です。
- 茹でる: ベビー用パスタや細いカッペリーニなどを、表示時間の2倍以上を目安に、指で簡単につぶせるくらいくたくたに茹でます。長い麺は、乾麺の状態で細かく折ってから茹でると後の作業が楽になります。
- すりつぶす: 茹で上がったパスタをすり鉢に入れ、なめらかになるまで丁寧にすりつぶします。裏ごし器を使うと、より口当たりが滑らかになります。
- のばす: そのままでは粘り気が強いので、お湯や野菜スープ、だし汁などでポタージュ状になるようにのばしてあげましょう。
1回の目安量:耳かき1さじから
中期(7〜8ヶ月)の調理法:みじん切りで舌でつぶせる固さに
舌で食べ物をつぶせるようになる中期は、少しずつ形状を残していきます。
- 茹でる: パスタを表示時間の2倍程度を目安に、舌でつぶせる固さまでやわらかく茹でます。
- 刻む: 茹で上がったパスタを、2〜3mm程度のみじん切りにします。フードプロセッサーやブレンダーを使うと便利です。
- とろみをつける: 野菜のペーストと和えたり、水溶き片栗粉でとろみをつけたりすると、赤ちゃんが食べやすくなります。
1回の目安量(乾麺):10g〜20g程度
| 月齢 | 固さの目安 | 大きさの目安 |
|---|---|---|
| 初期後半 | ポタージュ状 | なめらかなペースト |
| 中期 | 舌でつぶせる固さ | 2〜3mmのみじん切り |
| 後期 | 歯ぐきでつぶせる固さ | 5mm〜1cm程度 |
| 完了期 | 歯ぐきで噛める固さ | 2〜3cm程度 |
後期(9〜11ヶ月)以降の調理法:少しずつ形を残して
手づかみ食べが始まる子も出てくる後期(カミカミ期)は、歯ぐきでつぶせる固さを意識します。
- 茹でる: パスタを表示時間より少し長めに茹で、歯ぐきでつぶせるバナナくらいの固さにします。
- 刻む: 5mm〜1cm程度の長さに刻みます。
- アレンジ: ソースと和えるだけでなく、やわらかく茹でたマカロニなどを手づかみメニューとして取り入れるのも良いでしょう。
完了期(1歳〜1歳半頃)には、さらに形を大きくし、2〜3cm程度の長さにします。 大人のメニューからの取り分けもしやすくなりますが、味付けは薄味を基本にしましょう。 赤ちゃんの食べる様子をよく見て、大きさと固さを調整してあげてくださいね。
離乳食パスタで注意したいアレルギーのこと
離乳食で新しい食材を試すときに、ママ・パパが最も心配することの一つが食物アレルギーではないでしょうか。パスタの主な原料である小麦は、アレルギー症状を引き起こす可能性がある食材の一つです。ここでは、安心して離乳食を進めるために知っておきたい、小麦アレルギーの基本と注意点について解説します。
パスタの原料「小麦」は特定原材料
食物アレルギーの原因となる食品のうち、特に発症数が多く、症状が重篤になりやすい7品目は「特定原材料」として、食品表示法で表示が義務付けられています。小麦は、卵や乳製品と並んでこの特定原材料7品目に含まれています。
そのため、パスタを初めて赤ちゃんに与える際は、慎重に進める必要があります。パンやうどんなど、他の小麦製品をまだ試したことがない場合は、特に注意が必要です。赤ちゃんの体に負担をかけないよう、正しい知識を持って進めていきましょう。
えび
かに
小麦
そば
卵
乳
* 落花生(ピーナッツ)
初めて与えるときの時間と量のルール
初めて小麦製品を与える際は、必ず「少量から」そして「医療機関の開いている時間に」というルールを守りましょう。
- 時間: 万が一、アレルギー症状が出た場合にすぐに病院を受診できるよう、平日の午前中やお昼の時間帯を選びましょう。 夕方や夜、休日に初めての食材を試すのは避けるのが賢明です。
- 量: 赤ちゃん用のスプーンの先に少量、耳かき1さじ程度から始めます。 症状が出なければ、次の日は小さじ1/2、その次は小さじ1というように、2〜3日かけて少しずつ量を増やしていきます。
- 体調: 赤ちゃんの機嫌がよく、体調の良い日を選んで試しましょう。風邪気味のときや湿疹が出ているときなどは、アレルギー反応が出やすくなる可能性があるので避けてください。
もしアレルギー症状が出たら?
小麦アレルギーの主な症状には、以下のようなものがあります。
- 皮膚症状: じんましん、口の周りや体のかゆみ・赤み、まぶたの腫れ
- 消化器症状: 嘔吐、下痢、腹痛
- 呼吸器症状: 咳、くしゃみ、鼻水、ぜーぜーとした呼吸
これらの症状が、食後30分〜2時間以内に現れることが一般的です。もし、赤ちゃんにこのような症状が見られた場合は、すぐに与えるのを中止してください。症状が軽い場合でも、自己判断せずに必ずかかりつけの小児科医に相談しましょう。その際、いつ、何を、どれくらいの量食べたか、どのような症状がいつ出たかをメモしておくと、診察がスムーズに進みます。
離乳食初期におすすめ!簡単パスタレシピ

パスタに慣れてきたら、いろいろな食材と組み合わせて栄養バランスのよいメニューを作ってあげたいですよね。ここでは、離乳食初期から中期にかけておすすめの、簡単なパスタレシピをご紹介します。どのレシピも、パスタは月齢に合わせて茹でて刻んだものを使用してください。
野菜ペーストとの組み合わせ
野菜の自然な甘みや旨味は、赤ちゃんの味覚を育ててくれます。作り置きしておいた野菜ペーストと和えるだけで、手軽に彩り豊かな一品が完成します。
かぼちゃとパスタのポタージュ風
- 材料
- 茹でて刻んだパスタ:小さじ1〜2
- かぼちゃのペースト:大さじ1
- 野菜スープ(または湯冷まし):適量
- 作り方
- 耐熱容器にパスタとかぼちゃのペーストを入れ、野菜スープを加えて混ぜ合わせる。
- ラップをして電子レンジ(600W)で20秒ほど加熱し、赤ちゃんが食べやすいように混ぜてなめらかにする。
にんじん、ほうれん草、トマトなど、赤ちゃんが食べ慣れている野菜のペーストでアレンジ可能です。 トマトを使う場合は、皮と種を取り除き、加熱して酸味を飛ばしてあげましょう。
豆腐やしらすを使ったタンパク質プラスレシピ
炭水化物であるパスタに、タンパク質をプラスすることで栄養バランスがアップします。豆腐やしらすは、離乳食初期から使える便利なタンパク質源です。
しらすと豆腐の和風パスタ
- 材料
- 茹でて刻んだパスタ:小さじ1〜2
- 絹ごし豆腐:大さじ1
- しらす干し:小さじ1/2
- だし汁:適量
- 作り方
- しらすは熱湯をかけて塩抜きし、細かくすりつぶす。
- 豆腐は裏ごしするか、スプーンの背でなめらかにつぶす。
- 小鍋に全ての材料とだし汁を入れ、弱火で温めながら混ぜ合わせる。
ポイント
しらすの塩分は製品によって異なるため、必ずしっかりと塩抜きをしましょう。 豆腐の代わりに、加熱してすりつぶした白身魚などを使っても美味しく作れます。
ミルク風味のクリーミーパスタ
育児用ミルクや粉ミルクを使えば、簡単にクリーミーで優しい味わいのパスタが作れます。赤ちゃんが好きな味なので、食が進むかもしれません。
ミルククリームパスタ
- 材料
- 茹でて刻んだパスタ:小さじ1〜2
- 育児用ミルク(調乳したもの):大さじ2
- にんじんのペースト:小さじ1
- 片栗粉:ごく少量
- 作り方
- 小鍋にパスタ、ミルク、にんじんのペーストを入れて弱火にかける。
- 温まってきたら、ごく少量の水で溶いた片栗粉を加え、混ぜながらとろみをつける。
ポイント
ミルクは加熱しすぎると分離することがあるので、沸騰させないように注意しましょう。ブロッコリーやコーンのペーストを使っても、彩りがきれいになります。
離乳食パスタの冷凍保存とアレンジ術
毎日の離乳食作りは、時間との勝負。特にパスタは茹でるのに時間がかかるため、毎回作るのは大変ですよね。そんな時に便利なのが「冷凍ストック」です。上手に活用すれば、調理時間をぐっと短縮できます。ここでは、パスタの冷凍保存のコツと、冷凍ストックを使った簡単アレンジ術をご紹介します。
便利な冷凍ストックの作り方
パスタはまとめて茹でて冷凍しておくのがおすすめです。
- やわらかく茹でる: パスタを月齢に合わせた固さよりも、さらにやわらかめに茹でます。解凍時に水分が飛んで少し固くなるためです。
- 月齢に合わせて刻む: 茹で上がったパスタを、赤ちゃんの月齢に合わせた大きさに刻みます。
- 小分けにして冷凍: 1食分ずつ製氷皿や冷凍用の小分け容器、またはラップに包んでフリーザーバッグに入れて冷凍します。
解凍するときのポイント
冷凍したパスタを解凍する際は、電子レンジを使うのが最も手軽です。
- 水分を足して加熱: 耐熱容器に冷凍パスタと少量の水やだし汁、野菜スープなどを加え、ラップをふんわりかけて電子レンジで加熱します。水分を加えることで、パサつかずにしっとりと仕上がります。
- 加熱ムラに注意: 加熱の途中で一度取り出し、全体を混ぜてから再度加熱すると、ムラなく温めることができます。
- 温度を確認: 赤ちゃんに与える前には、必ず人肌程度の温度になっているかを確認してください。
一度解凍したものの再冷凍は、雑菌が繁殖する原因となるため絶対にやめましょう。
冷凍ストックを使った簡単アレンジ
冷凍パスタのストックがあれば、他の冷凍ストックと組み合わせるだけで、あっという間に一品が完成します。
- 野菜ソースパスタ: 冷凍しておいたトマトソースや野菜のポタージュと冷凍パスタを一緒に耐熱容器に入れ、電子レンジで加熱するだけ。 栄養バランスも彩りも良い一皿になります。
- 和風あんかけパスタ: 冷凍パスタとだし汁、冷凍しておいた刻み野菜(にんじん、玉ねぎなど)を小鍋に入れて火にかけ、最後に水溶き片栗粉でとろみをつければ、優しい味のあんかけパスタの出来上がりです。
- きな粉パスタ: 解凍したパスタに、少量のきな粉を和えるだけの簡単アレンジ。きな粉の風味と栄養を手軽にプラスできます。砂糖は使わず、きな粉本来の甘みだけで十分です。
このように、冷凍ストックを上手に活用することで、忙しい中でも手軽に離乳食のバリエーションを増やすことができます。
まとめ:パスタを離乳食初期から上手に取り入れてみよう

今回は、離乳食のパスタについて、始める時期や調理法、アレルギーの注意点などを詳しく解説しました。
- パスタは離乳食中期(7〜8ヶ月頃)から始めるのが安心。
- 初期から試す場合は、ごく少量からペースト状にして与えることが大切。
- 原料の小麦はアレルギーの原因になりやすいため、平日の午前中に少量から試す。
- 調理の際は、月齢に合わせて固さと大きさを調整する。
- 冷凍ストックを活用すると、毎日の離乳食作りがぐっと楽になる。
離乳食は、赤ちゃんの成長に合わせて焦らず進めることが何よりも大切です。周りの赤ちゃんと比べず、ご自身の赤ちゃんのペースを尊重してあげてください。この記事でご紹介したポイントを参考に、安全に美味しくパスタを離乳食に取り入れて、赤ちゃんの「食べる楽しみ」を広げていきましょう。ママ・パパの愛情がこもった離乳食は、赤ちゃんにとって最高の食事です。


コメント