多めに作りすぎてしまったり、家族の帰りが遅くて残ってしまったり…美味しいパスタも、時間が経つと味が落ちてしまうのが悩みどころですよね。しかし、諦めるのはまだ早いです。実は、ちょっとしたコツを押さえるだけで、残ったパスタを次の日でも美味しく食べることができるのです。
この記事では、パスタがなぜ時間と共に美味しくなくなってしまうのか、その原因から解説し、美味しさをキープするための正しい保存方法をソース別に詳しくご紹介します。さらに、冷蔵・冷凍したパスタを美味しく温め直すためのテクニックや、残り物とは思えない絶品アレンジレシピまで、余すところなくお伝えします。
この記事を読めば、もうパスタを無駄にしてしまうことはありません。最後まで美味しくパスタを味わい尽くすための知識を身につけて、毎日の食卓をより豊かにしましょう。
パスタの残り、次の日でも美味しく食べるための基本
美味しいパスタを作るのは楽しいですが、残ってしまうこともありますよね。そんな時、次の日も美味しく食べるためにはいくつかの基本的なポイントがあります。時間が経つとなぜ味が落ちてしまうのか、そして美味しさを保つためにはどうすれば良いのか、冷蔵と冷凍のどちらが適しているのかを解説します。
なぜパスタは時間が経つとまずくなる?
作りたてのパスタは、麺(めん)のコシとソースの風味が絶妙にマッチして美味しいですよね。しかし、時間が経つと、麺が伸びてしまったり、固まってしまったり、パサパサになったりしてしまいます。これにはいくつかの原因があります。
まず、パスタが伸びるのは、麺が水分を吸収し続けるためです。 茹で上がった直後が最も美味しいアルデンテ(少し芯が残る状態)でも、ソースの水分や空気中の湿気を吸って、徐々にふやけてコシがなくなってしまいます。
次に、パスタが固まるのは、麺の表面にあるデンプン質が原因です。 茹で上がったパスタが冷めると、デンプンが固まって麺同士がくっついてしまいます。特にオイルが少ないパスタは固まりやすい傾向にあります。
そして、パサパサになるのは、麺の水分が蒸発してしまうからです。冷蔵庫など乾燥しやすい環境にそのまま置いておくと、麺の水分が失われてしまい、食感が悪くなってしまいます。これらの原因を理解し、適切な対策をすることで、次の日でもパスタを美味しく食べることができます。
美味しさを保つ保存のポイント
残ったパスタの美味しさを保つためには、「乾燥を防ぐ」「くっつきを防ぐ」「水分の吸収を抑える」の3つが重要なポイントになります。
まず、茹で上がったパスタを保存する際は、オリーブオイルやサラダ油を少量絡めておくのが効果的です。 油が麺の表面をコーティングすることで、水分の蒸発を防ぎ、パサつきを抑えることができます。 同時に、麺同士がくっつくのも防いでくれます。
次に、ソースと麺はできるだけ別々に保存するのが理想です。ソースの水分を麺が吸ってしまうのを防ぐため、食べる直前に和えるのがベストです。 もしソースと和えてしまった状態で保存する場合は、できるだけ空気に触れないように、ラップをぴったりとかけて密閉容器に入れるようにしましょう。
また、お弁当などで作り置きする場合は、パスタを表示時間より1〜2分短く、固めに茹でておくのも良い方法です。 こうすることで、温め直した時にちょうど良い硬さになり、伸びすぎるのを防ぐことができます。
冷蔵保存と冷凍保存、どっちがいい?
残ったパスタを保存する場合、冷蔵保存と冷凍保存のどちらが良いのでしょうか。これは、いつ食べるかによって使い分けるのがおすすめです。
| 保存方法 | おすすめの期間 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 冷蔵保存 | 翌日中 | 手軽に保存・温めができる | 長期保存には向かない、乾燥しやすい |
| 冷凍保存 | 約1ヶ月 | 長期保存が可能、美味しさをキープしやすい | 解凍に少し手間がかかる |
【ソース別】残ったパスタの正しい保存方法

パスタと一言で言っても、ソースの種類はさまざまです。オイル系、トマト系、クリーム系、和風など、ソースによって適切な保存方法は少しずつ異なります。ここでは、ソースの種類別に、美味しさを損なわないための保存のコツをご紹介します。
オイル系パスタ(ペペロンチーノなど)の保存
ペペロンチーノやボンゴレ・ビアンコなどのオイル系パスタは、比較的シンプルな味付けのため、麺の状態が味に大きく影響します。
冷蔵保存する場合、麺が固まりやすいのが特徴です。保存する前に、オリーブオイルを少量追加で絡めておくと、麺同士がくっつきにくくなります。ラップでぴったりと包むか、密閉容器に入れて、乾燥を防ぎましょう。
冷凍保存も可能です。1食分ずつ小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて保存します。オイル系パスタは具材が少ないため、冷凍しても食感の変化が少ないのがメリットです。食べる際は、後述する温め直しのコツを参考にしてください。温める際に、少し白ワインやパスタの茹で汁(あれば)を加えると、風味が戻りやすくなります。
トマト系パスタ(ミートソース、ナポリタンなど)の保存
ミートソースやナポリタン、アラビアータなどのトマト系パスタは、ソースに水分が多いため、麺が伸びやすい傾向にあります。
冷蔵保存する場合、ソースと麺を別々に保存するのが最もおすすめです。 どうしても一緒に保存する場合は、麺がソースの水分を吸うことを考慮し、食べる際には少し味が薄く感じるかもしれません。温め直す際に、粉チーズやケチャップを少し足すと味が調いやすくなります。
特にナポリタンは、一度炒めているため、他のパスタに比べて伸びにくいという特徴があります。 そのため、作り置きやお弁当にも比較的向いていると言えるでしょう。
冷凍保存する場合も、ソースと麺は別々が理想ですが、一緒に冷凍することも可能です。その際は、ソースが麺全体をコーティングするように混ぜてから、1食分ずつラップに包み、冷凍用保存袋で保存しましょう。
クリーム系パスタ(カルボナーラなど)の保存
カルボナーラやきのこのクリームパスタなど、生クリームや牛乳、チーズ、卵を使ったクリーム系パスタは、保存や温め直しが最も難しい種類と言えます。
冷蔵保存は可能ですが、温め直す際にソースが分離してしまったり、卵が固まってしまったりする可能性が高いです。保存する際は、乾燥しないようにしっかりと密閉することが大切です。
冷凍保存は、あまりおすすめできません。乳製品は冷凍すると分離しやすく、解凍・加熱した際に元の滑らかな状態に戻りにくいためです。もし冷凍する場合は、温め直しの際に牛乳や生クリームを少量加えて、弱火でゆっくりとかき混ぜながら加熱すると、分離を多少抑えることができます。
和風パスタ(たらこ、きのこ醤油など)の保存
たらこ(明太子)パスタやきのこの和風醤油パスタなど、和風のパスタは、比較的さっぱりとした味付けのものが多いです。
冷蔵保存する場合、オイル系と同様に麺が固まりやすいので、オリーブオイルやバターを少量絡めておくと良いでしょう。たらこや明太子ソースのパスタは、温め直すと火が通り過ぎて風味が落ちることがあります。食べる直前にソースを和えるのが理想ですが、すでに和えてある場合は、温め過ぎに注意が必要です。
冷凍保存も可能です。特にきのこ醤油のような、炒めて作るタイプの和風パスタは冷凍に向いています。1食分ずつ小分けにして冷凍しましょう。たらこソースの場合は、ソースを別にして麺だけを冷凍し、食べる直前に解凍した麺とソースを和えるのがおすすめです。もしソースごと冷凍した場合は、レンジでの加熱時間を短めにするなど、加熱しすぎないように気をつけましょう。
固まらない!伸びない!パスタの温め直しのコツ
冷蔵や冷凍で保存したパスタを、いかに美味しく温め直すか。これが残り物パスタを美味しく食べるための最後の重要なステップです。電子レンジやフライパンを使った温め方のコツと、もしパスタが固まってしまった場合の対処法について詳しく解説します。
電子レンジを使った温め方
手軽で便利な電子レンジですが、ただ温めるだけではパスタがパサパサになったり、加熱ムラができたりします。
まず、耐熱皿に移したパスタに、少量の水または白ワインを振りかけるのがポイントです。 これにより、加熱中に蒸気が発生し、パスタがしっとりと仕上がります。特に冷凍したパスタの場合は、1食分あたり大さじ1杯程度の水を加えると良いでしょう。
次に、ラップをふんわりとかけてから加熱します。ぴったりとラップをすると、蒸気の逃げ場がなくなり、麺がべちゃっとしてしまうことがあるためです。
加熱時間の目安は、冷蔵保存したものであれば600Wで2分〜3分、冷凍保存したものであれば4分〜5分程度です。 ただし、お使いの電子レンジやパスタの量によって変わるので、様子を見ながら調整してください。途中で一度取り出して全体を軽く混ぜると、加熱ムラを防ぐことができます。
フライパンを使った温め方
フライパンで温め直すと、麺がアルデンテに近い食感に戻りやすく、ソースの香りも引き立つので、時間に余裕がある場合はこちらの方法がおすすめです。
フライパンを弱火にかけ、少量のオリーブオイルをひきます。そこに保存しておいたパスタを入れ、水か白ワイン、またはパスタの茹で汁(あれば)を大さじ1〜2杯加えます。 蓋をして1〜2分蒸し焼きにすることで、麺がほぐれやすくなります。
麺がほぐれてきたら、蓋を取って全体を混ぜながら炒めます。 ソースが絡んで温まったら完成です。トマトソースやミートソースの場合は、この時に少し煮詰めると味が凝縮して美味しくなります。クリームソースの場合は、分離しやすいので必ず弱火で、ゆっくりと温めるようにしてください。
パスタが固まってしまった時の対処法
冷蔵庫から出したパスタが、カチカチに固まってしまっていることはよくありますよね。そんな時も慌てる必要はありません。
まず試してほしいのが、少量の水分を加えてほぐす方法です。 電子レンジやフライパンで温める前に、水や白ワイン、牛乳(クリーム系の場合)などを少し振りかけて、箸やフォークで優しくほぐしてみてください。温めながらほぐしていくと、よりスムーズです。
どうしてもほぐれないほど固まってしまっている場合は、無理にほぐそうとすると麺がちぎれてしまいます。その場合は、後述するグラタンやオムレツなどのアレンジレシピに活用するのが良いでしょう。
残り物パスタが大変身!絶品アレンジレシピ

残ってしまったパスタも、少し工夫するだけで全く新しい一品に生まれ変わります。温め直してそのまま食べるのに飽きてしまったら、ぜひこれらのアレンジレシピを試してみてください。簡単なのに、残り物とは思えないほどの美味しさに驚くはずです。
チーズを加えてグラタン風に
どんな種類のパスタでも美味しくアレンジできるのが、このグラタン風リメイクです。特に、ミートソースやクリームソースのパスタとの相性は抜群です。
作り方はとても簡単。耐熱皿に残ったパスタを入れ、牛乳や生クリーム、またはトマトソースを少量加えて味を調えます。その上に、ピザ用チーズや粉チーズをたっぷりと乗せ、オーブントースターやグリルでこんがりと焼き色がつくまで焼くだけ。
ホワイトソースを一から作らなくても、パスタソースがベースになっているので手軽に本格的な味わいになります。 ブロッコリーやきのこ、ソーセージなどを加えれば、さらにボリュームアップして満足感のある一皿になりますよ。
卵とじでオムレツやスパニッシュオムレツに
卵と組み合わせることで、残り物パスタが朝食やブランチにぴったりの一品に変身します。
まず、残ったパスタをフォークの背などで粗く刻むか、キッチンバサミで短くカットします。 ボウルに卵を溶きほぐし、塩こしょう、粉チーズで味を調えたら、刻んだパスタを加えてよく混ぜ合わせます。
フライパンにオリーブオイルを熱し、卵液を流し込みます。あとは、通常のオムレツのように焼けば完成です。ケチャップをかければ、お子様にも喜ばれること間違いなし。ほうれん草やベーコン、玉ねぎなどを加えれば、彩りも栄養も豊かなスパニッシュオムレツ風になります。
スープを加えてスープパスタに
少し伸びてしまったり、パサついてしまったりしたパスタの食感をカバーするのに最適なのが、スープパスタへのアレンジです。
鍋にコンソメスープやトマトスープ、中華スープなど、お好みのスープを用意します。そこに残ったパスタを加えて、ひと煮立ちさせるだけ。スープが麺に絡んで、温かく優しい味わいになります。
野菜やきのこ、ベーコンなどをたっぷり加えれば、これ一品で栄養満点の食事になります。
春巻きの皮で包んで揚げ春巻きに
少し変わったアレンジですが、これが意外なほど美味しいと評判なのが「パスタ春巻き」です。
残ったパスタを春巻きの皮で包み、油で揚げるか、多めの油で揚げ焼きにします。外はパリパリ、中はもちもちとした食感のコントラストが楽しめます。
ナポリタンやミートソースのような味の濃いパスタが特におすすめです。チーズを一緒に入れると、中からとろりと溶け出してさらに美味しくなります。何もつけなくても美味しいですが、お好みでケチャップやスイートチリソースをつけても良いでしょう。お弁当のおかずや、おつまみにもぴったりな一品です。
パスタを美味しく作り置きするコツ
家族の食事時間がバラバラだったり、忙しい日のために食事を準備しておいたりと、パスタを作り置きしたい場面は多いですよね。作り置きでもできるだけ美味しく食べるためには、調理の段階でいくつかのコツを押さえておくことが重要です。
作り置きに向いているパスタの種類
全てのパスタが作り置きに向いているわけではありません。作り置きしても比較的美味しさを保ちやすいのは、ナポリタンやミートソースのような、味がしっかりしていて、ある程度炒めたり煮込んだりするタイプのパスタです。 これらのパスタは、麺がソースの味を吸うことで、時間が経っても味がぼやけにくいという利点があります。
一方で、カルボナーラのような卵や生クリームを使うデリケートなソースや、ペペロンチーノのようなオイルベースで麺の食感が命のパスタは、作り置きにはあまり向いていません。どうしても作り置きしたい場合は、ソースと麺を別々に保存するのが鉄則です。
麺を茹でる時のポイント
作り置きを前提としてパスタを茹でる場合は、いくつかのポイントがあります。
まず、茹で時間を袋の表示よりも1〜2分短くすること。 いわゆる「アルデンテ」よりもさらに固めに茹で上げるのがコツです。こうすることで、保存している間や温め直す際に麺が水分を吸って伸びてしまうのを最小限に抑えることができます。
次に、茹でるお湯に塩をしっかり加えることも大切です。 塩には、麺の表面を引き締めてコシを出す効果があります。お湯1リットルに対して塩15g程度が目安です。
そして、茹で上がった麺はザルにあげて水気を切ったら、すぐにオリーブオイルを絡ませます。 これにより、麺の表面がコーティングされ、乾燥と麺同士のくっつきを防ぐことができます。
ソースと麺は別々に保存するのがおすすめ
繰り返しになりますが、作り置きパスタの美味しさを最大限に保つための最も重要なポイントは、ソースと麺を別々に保存することです。
麺は前述の方法で固めに茹でてオイルを絡め、粗熱が取れたら1食分ずつラップに包むか密閉容器に入れて冷蔵または冷凍保存します。ソースも同様に、調理後に粗熱を取り、密閉容器に入れて保存します。
食べる直前に、麺とソースをそれぞれ温め、フライパンでさっと和えれば、作り置きとは思えないほどフレッシュな状態でパスタを楽しむことができます。 少し手間はかかりますが、このひと手間で美味しさが格段に変わりますので、ぜひ試してみてください。
まとめ:パスタの残りを次の日も楽しむために

この記事では、残ってしまったパスタを次の日でも美味しく食べるための様々な方法をご紹介しました。
パスタが時間が経つとまずくなるのは、麺が水分を吸って伸びたり、デンプン質で固まったり、水分が蒸発してパサパサになったりするのが原因です。しかし、適切な方法で保存し、温め直せば、その美味しさを取り戻すことができます。
保存の基本は、乾燥とくっつきを防ぐためにオイルを絡めること、そして可能であればソースと麺を別々に保存することです。 翌日中に食べるなら冷蔵保存、それ以降なら冷凍保存と、食べるタイミングで使い分けるのが賢い方法です。
温め直す際は、電子レンジでもフライパンでも、少量の水分を加えるのがしっとり仕上げるコツです。 もし麺が固まってしまったら、パスタの茹で汁があれば、それを加えると驚くほど状態が良くなります。
さらに、そのまま温め直すだけでなく、グラタンやオムレツ、スープパスタなどにアレンジすれば、残り物とは思えない新たな一品として楽しめます。
これらのポイントを押さえて、これからはパスタが残ってしまっても、もう悩むことはありません。最後まで美味しく、無駄なくパスタを味わい尽くしましょう。


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