健康を意識する上で、主食となる炭水化物の選択は非常に重要です。「パスタと米、一体どちらが健康に良いのだろう?」と疑問に感じたことはありませんか?どちらも私たちの食卓に欠かせない存在ですが、カロリーや栄養価、体への影響には違いがあります。
この記事では、パスタと米、それぞれの栄養面での特徴、太りやすさの指標となるGI値、そしてダイエット中にどちらを選ぶべきかについて、わかりやすく解説していきます。さらに、パスタや米をより健康的に楽しむための具体的な食べ方のコツもご紹介します。この記事を読めば、ご自身のライフスタイルや目的に合わせて、最適な主食を選べるようになるでしょう。
パスタと米、どっちが健康?栄養面から徹底比較
パスタと米、どちらが健康的なのかを判断するために、まずはそれぞれの栄養成分を詳しく見ていきましょう。カロリーや糖質量だけでなく、たんぱく質や食物繊維、ビタミン、ミネラルといった、体づくりに欠かせない栄養素を比較することで、それぞれの長所と短所が明らかになります。
カロリーと糖質量で見るパスタと米
一般的に、乾燥パスタ100gあたりのカロリーは約380kcal、炊いたご飯(白米)お茶碗一杯分(約150g)のカロリーは約240kcalです。 一見するとパスタの方が高カロリーに見えますが、これは調理前の重量での比較です。パスタは茹でると水分を吸って重量が増えるため、実際に食べる一食分(乾燥で80g〜100g)で考えると、ご飯と大きな差はありません。
乾燥パスタ100gは茹でると約250gになります。一方、ご飯はお茶碗一杯で約150gです。そのため、1食分の量で比較すると、カロリーや糖質量に大きな差は出にくいと言えます。
糖質量については、乾燥パスタ100gあたり約70g、白米(炊飯後)150gあたり約55gの糖質が含まれています。こちらも調理前の重量で比較するとパスタの方が多いですが、食べる量によって摂取する糖質量は変わってきます。重要なのは、1食でどれくらいの量を食べるかを意識することです。
たんぱく質や食物繊維はどちらが豊富?
たんぱく質は、筋肉や臓器など体を作る上で欠かせない栄養素です。パスタ(乾燥)100gには約13gのたんぱく質が含まれているのに対し、白米(炊飯後)150gに含まれるたんぱく質は約3.8gです。 このように比較すると、パスタの方がたんぱく質を多く含んでいることがわかります。
次に、食物繊維を見てみましょう。食物繊維は、腸内環境を整えたり、血糖値の急上昇を抑えたりする働きがあります。 パスタ(乾燥)100gあたりの食物繊維は約5g、白米(炊飯後)150gあたりは約0.5gです。こちらもパスタの方が豊富に含まれています。特に、全粒粉パスタを選ぶと、食物繊維の摂取量をさらに増やすことができます。 全粒粉パスタは、通常のパスタの約3倍の食物繊維を含んでいるとされています。
| 栄養素 | パスタ(乾燥100g) | 白米(炊飯後150g) |
|---|---|---|
| カロリー | 約380kcal | 約240kcal |
| 糖質 | 約70g | 約55g |
| たんぱく質 | 約13g | 約3.8g |
| 食物繊維 | 約5g | 約0.5g |
※数値は目安です。
ビタミン・ミネラルの含有量を比較
ビタミンやミネラルは、体の調子を整えるために不可欠な栄養素です。パスタは、エネルギー代謝を助けるビタミンB群を比較的多く含んでいます。 一方、お米は精米される過程でビタミンやミネラルが多く含まれる胚芽やぬかが取り除かれてしまいます。
しかし、お米も玄米や雑穀米を選ぶことで、ビタミンB群、ビタミンE、マグネシウム、鉄分などのミネラルを豊富に摂ることができます。 玄米は「完全栄養食」とも呼ばれるほど栄養価が高く、白米と比較して食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富です。
健康を考えるなら、パスタであれば全粒粉パスタ、お米であれば玄米や雑穀米を選ぶのがおすすめです。 これらを選ぶことで、より多くのビタミン、ミネラル、食物繊維を効率的に摂取することができます。
太りやすさの指標「GI値」で比較!パスタと米の違い

「GI値」という言葉を聞いたことはありますか?これは、食後の血糖値の上がりやすさを示す指標で、ダイエットや健康管理において注目されています。GI値を知ることで、パスタと米、どちらが太りにくいのかを判断する一つの手がかりになります。
GI値とは?血糖値との関係
GI値(グリセミック・インデックス)とは、食品を摂取した後の血糖値の上昇度合いを示す指標です。 GI値が高い食品を食べると、食後に血糖値が急激に上昇します。すると、血糖値を下げるために「インスリン」というホルモンが大量に分泌されます。 インスリンには、余った糖を脂肪として体に溜め込む働きがあるため、インスリンが過剰に分泌されると太りやすくなってしまうのです。
一方、GI値が低い食品は、食後の血糖値の上昇が緩やかです。 そのため、インスリンの分泌も抑えられ、脂肪がつきにくいと言われています。
- 高GI食品:70以上(白米、食パン、うどんなど)
- 中GI食品:56~69(パスタなど)
- 低GI食品:55以下(玄米、そば、全粒粉パスタなど)
パスタのGI値は意外と低い?
炭水化物であるパスタはGI値が高いと思われがちですが、実は一般的なスパゲッティのGI値は65前後と、中GI食品に分類されます。 これは、白米のGI値が約84、食パンが約90であることと比較すると、低い数値です。
パスタのGI値が比較的低い理由は、原料であるデュラム小麦の特性にあります。デュラム小麦は、パンなどに使われる一般的な小麦粉よりも硬く、消化・吸収がゆっくり進むため、血糖値の上昇が穏やかになるのです。
白米と玄米のGI値の違い
同じお米でも、白米と玄米ではGI値が大きく異なります。白米のGI値が約84(高GI)なのに対し、玄米のGI値は約55(低GI)です。
玄米は、白米に比べて食物繊維が豊富に含まれています。 この食物繊維が糖の吸収を穏やかにするため、血糖値の急上昇を防いでくれるのです。 健康やダイエットを意識するのであれば、白米よりも玄米を選ぶ方が良いでしょう。
ダイエット中に向いているのはどっち?
栄養価やGI値の違いを踏まえた上で、ダイエット中にはパスタと米、どちらを選ぶのがより効果的なのでしょうか。腹持ちの良さや、組み合わせる食材、食べる量や頻度など、様々な角度から考えてみましょう。
腹持ちが良いのはパスタ?それとも米?
ダイエットを成功させるためには、満腹感が持続し、間食を防ぐことが重要です。腹持ちの良さという点では、パスタに軍配が上がると言えるでしょう。パスタは消化に時間がかかるため、満腹感が長持ちしやすい特徴があります。 特に、食物繊維が豊富な全粒粉パスタは、さらに腹持ちが良いとされています。
一方、ご飯は粒状であるため、よく噛んで食べることで満腹中枢が刺激され、満足感を得やすいというメリットがあります。 早食いをせず、一口30回を目安によく噛むことを意識すると、食べ過ぎを防ぐことができます。
組み合わせる食材で変わる太りやすさ
パスタもご飯も、それ自体が直接的に太る原因になるわけではありません。太りやすさは、一緒に食べるものによって大きく左右されます。
パスタの場合、クリームソースやミートソースなど、脂質やカロリーが高いソースを選ぶと、一気に高カロリーな食事になってしまいます。 ダイエット中は、野菜をたっぷり使ったトマトソースや、きのこを使った和風ソース、シンプルなペペロンチーノなどを選ぶのがおすすめです。
ご飯の場合、丼ものやカレーライスなどは、ご飯の量が多くなりがちで、具材によっては高カロリーになるため注意が必要です。 理想的なのは、ご飯、主菜(肉や魚)、副菜(野菜)、汁物といった「一汁三菜」の和食スタイルです。様々な食材をバランス良く摂ることで、栄養バランスが整い、満足感も得やすくなります。
食べる量と頻度のポイント
ダイエット中だからといって、炭水化物を完全に抜いてしまうのはおすすめできません。炭水化物は、脳や体を動かすための重要なエネルギー源です。 大切なのは、適切な量を守ることです。
パスタであれば、1食あたり乾燥で80g程度、ご飯であればお茶碗に軽く一杯(約150g)を目安にしましょう。 どちらか一方に偏るのではなく、日によってパスタとご飯を上手に取り入れ、飽きずに続けられるように工夫することも大切です。
パスタを健康的に食べるためのコツ

GI値が比較的低く、たんぱく質や食物繊維も豊富なパスタ。しかし、食べ方次第では高カロリーになってしまうことも。ここでは、パスタをより健康的に楽しむための具体的な方法をご紹介します。
全粒粉パスタや玄米パスタを選ぶ
健康効果を最大限に引き出すなら、全粒粉パスタがおすすめです。 全粒粉は、小麦の表皮や胚芽を取り除かずに丸ごと挽いたもので、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。 食物繊維は腸内環境を整えるだけでなく、血糖値の急上昇を抑える効果も期待できます。 また、鉄分も豊富なので貧血予防にも役立ちます。
最近では、玄米を原料としたパスタなども販売されています。いつものパスタをこうした栄養価の高いものに変えるだけで、手軽に健康的な食事にシフトできます。
たっぷりの野菜や良質なたんぱく質と組み合わせる
パスタを食べる際は、単品で済ませるのではなく、たっぷりの野菜ときのこ、そして良質なたんぱく質を組み合わせることを意識しましょう。
- 野菜・きのこ:食物繊維が豊富で、血糖値の上昇を穏やかにしてくれます。 また、カサ増し効果で満足感もアップします。
- 良質なたんぱく質:鶏むね肉、ささみ、魚介類(エビ、イカ、アサリなど)、豆類などを加えましょう。 筋肉の材料となり、基礎代謝の維持・向上に繋がります。
ソースは、生クリームやバターを多く使うものは避け、トマトソースやオイルベースのものがおすすめです。
オリーブオイルを上手に活用する
パスタ料理に欠かせないオリーブオイル。特にエキストラバージンオリーブオイルは、抗酸化作用のあるポリフェノールやオレイン酸を豊富に含んでおり、健康効果が期待できます。
ただし、オイルであることに変わりはないので、使いすぎはカロリーオーバーの原因になります。調理の際には計量スプーンを使うなどして、適量を心がけましょう。
食べる順番を工夫する「ベジファースト」
食事の最初に野菜やきのこ、海藻類など、食物繊維が豊富なものから食べる「ベジタブルファースト(ベジファースト)」を実践しましょう。
最初に食物繊維を摂ることで、後から食べる糖質の吸収が穏やかになり、血糖値の急上昇を防ぐことができます。 パスタを食べる前に、サラダや野菜スープなどを一品加えるのが効果的です。この少しの工夫が、健康的な体づくりに繋がります。
ご飯(お米)を健康的に食べるためのコツ
日本人にとってなじみ深い主食、ご飯。選び方や食べ方を少し工夫するだけで、健康効果をぐっと高めることができます。毎日の食卓に活かせる、ご飯を健康的に食べるためのポイントをご紹介します。
白米よりも玄米や雑穀米を選ぶ
健康を意識するなら、主食を白米から玄米や雑穀米に切り替えるのが最も効果的な方法の一つです。
玄米は、精米されていないお米のことで、ぬかや胚芽がそのまま残っています。 そのため、食物繊維、ビタミンB群、ビタミンE、マグネシウム、鉄分などの栄養素が白米に比べて非常に豊富です。 食物繊維は腸内環境を整え、便秘解消をサポートしてくれます。 また、GI値が低いため、食後の血糖値の上昇が緩やかで、糖尿病の予防にも繋がると言われています。
- 血糖値の急上昇を抑える
- 腸内環境を整える
- 美肌効果
- 心疾患リスクの低減
いきなり玄米100%に抵抗がある場合は、白米に玄米や雑穀を混ぜることから始めてみるのがおすすめです。
冷まして食べる「レジスタントスターチ」の効果
温かいご飯を冷ますと、「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」という成分が増えることをご存知ですか?
レジスタントスターチは、消化されずに大腸まで届くでんぷんのことで、食物繊維と似た働きをします。 腸内では善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える効果が期待できます。 さらに、血糖値の急上昇を抑えたり、便通を改善したりする働きもあります。
おにぎりやお弁当など、冷めたご飯を食べる機会を意識的に作ることで、手軽にレジスタントスターチを摂取することができます。
具沢山の味噌汁やおかずとセットで
ご飯を食べる際は、単品で済ませるのではなく、栄養バランスの取れたおかずと一緒に食べることを心がけましょう。
特におすすめなのが、野菜やきのこ、海藻などがたっぷり入った具沢山の味噌汁です。食事の最初に味噌汁を飲むことで、体を温め、満足感を得やすくなります。また、発酵食品である味噌は、腸内環境を整えるのにも役立ちます。
主菜には肉や魚、卵、大豆製品などのたんぱく質を、副菜には野菜や海藻を使ったおひたしや和え物などを組み合わせることで、理想的な栄養バランスの食事になります。
よく噛んでゆっくり食べる
ご飯は麺類と違い、粒状であるため、自然と噛む回数が増えます。よく噛むことは、満腹中枢を刺激し、食べ過ぎを防ぐだけでなく、消化を助ける効果もあります。
早食いは血糖値の急上昇を招きやすいため、一口入れたら箸を置くくらいの意識で、ゆっくりと時間をかけて食事を楽しむことが大切です。 噛む回数を意識するだけで、少ない量のご飯でも満足感を得られるようになります。
まとめ:パスタと米、健康的なのは自分に合った食べ方次第

パスタと米、どちらが健康に良いかという問いに対して、一概に「こちらが良い」と断言することはできません。なぜなら、どちらも選び方や食べ方次第で、健康的な主食にも、太りやすい食事にもなり得るからです。
パスタはGI値が比較的低く、たんぱく質が豊富ですが、ソースや組み合わせる具材によっては高カロリーになりがちです。一方、お米はGI値が高い白米ではなく、栄養価の高い玄米や雑穀米を選ぶことで、食物繊維やビタミン、ミネラルを豊富に摂取できます。
重要なのは、それぞれの特性を理解し、自分の目的やライフスタイルに合わせて賢く選択し、バランスの良い食事を心がけることです。
- パスタ:全粒粉パスタを選び、野菜や良質なたんぱく質をたっぷり加えた、シンプルな味付けのソースで楽しむ。
- お米:白米よりも玄米や雑穀米を選び、具沢山の味噌汁や様々なおかずと共に、よく噛んで食べる。
この記事でご紹介したポイントを参考に、日々の食生活の中でパスタと米を上手に取り入れ、健康的で豊かな食生活を送ってください。



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