にしんといえば、甘露煮やそばの具といった和食のイメージが強いかもしれません。しかし、脂がのって旨味の強いにしんは、実はオリーブオイルやハーブとの相性が非常に良く、イタリアンにぴったりの食材なのです。この記事では、そんなにしんの新たな魅力を引き出す、おしゃれでおいしいイタリアンレシピを幅広くご紹介します。
前菜にぴったりのカルパッチョやマリネから、本格的なパスタやアクアパッツァ、さらには手軽な缶詰を使ったアレンジレシピまで、今日の献立にすぐ取り入れられるものばかりです。この記事を読めば、にしんがあなたのイタリアンレパートリーに欠かせない存在になることでしょう。
にしんとイタリアンの意外な関係とは?
にしんとイタリアン、一見すると結びつかないように思えるこの組み合わせ。しかし、実はにしんの持つ特徴がイタリア料理の調理法や味付けと見事にマッチするのです。ここでは、なぜにしんがイタリアンに合うのか、そして日本で手に入るにしんの種類について解説します。
なぜにしんはイタリアンに合うの?
にしんがイタリアンによく合う最大の理由は、その上質な脂と豊かな旨味にあります。にしんの脂には、イワシなど他の青魚と同様にDHAやEPAといった栄養素が豊富に含まれており、加熱することで香ばしい風味とコクが生まれます。この脂の旨味が、オリーブオイルやニンニク、ハーブといったイタリア料理に欠かせない食材の風味と非常によく調和するのです。
例えば、オリーブオイルでじっくり煮込むオイルサーディンやアヒージョにすれば、にしんの旨味がオイルに移り、パンやパスタと絡めて絶品の味わいを楽しめます。また、トマトソースや白ワインを使った煮込み料理では、にしんから出る出汁がソース全体に深みを与えてくれます。さらに、新鮮なにしんをカルパッチョやマリネにすれば、さっぱりとしながらも脂の甘みを感じることができ、前菜として最適です。このように、焼く、煮る、生で食べるといった様々なイタリアンの調理法が、にしんの魅力を最大限に引き出してくれるのです。
イタリアで食べられているにしん料理
イタリアでは、にしん(イタリア語でaringa)は、特に北部の地域や島々で古くから食べられてきた食材です。ヴェネツィアでは「サルデ・イン・サオール」というイワシの南蛮漬けに似た料理が有名ですが、にしんでも同様のマリネ料理が作られます。酢や玉ねぎ、レーズン、松の実などでマリネにすることで、にしんの旨味を引き立てつつ、さっぱりと食べられるように工夫されています。
また、にしんは塩漬けや燻製に加工されることも多く、保存食として重宝されてきました。これらの加工品は、パスタの具材として使われたり、パンに乗せてブルスケッタとして食べられたりします。特に、燻製にしんの塩気と香りは、シンプルなパスタに加えるだけで、料理にぐっと深みを与えてくれます。 地中海で獲れるイワシやアンチョビがイタリア料理で多用されるように、北の海で獲れるにしんもまた、その土地の食文化に根付いた食材として、様々な料理で楽しまれているのです。
日本で手に入るにしんの種類と特徴
日本国内でイタリアンレシピに活用できるにしんは、主に「生にしん」「酢漬けにしん」「にしんの缶詰」の3つのタイプがあります。それぞれの特徴を理解して、作りたい料理に合わせて選びましょう。
・生にしん
春先から初夏にかけて出回る生の丸ごとのにしんや、三枚におろされた切り身です。「春告魚(はるつげうお)」とも呼ばれ、旬の時期のものは脂がのっていて非常においしいです。 カルパッチョやアクアパッツァ、オーブン焼きなど、にしんそのものの風味を活かした料理に向いています。 小骨が多い魚なので、調理の際には骨切りをしたり、じっくり加熱して骨まで食べられるようにしたりする工夫が必要です。
・酢漬けにしん
三枚におろしたにしんを酢で締めた加工品です。すでに下処理と味付けがされているため、調理の手間が省けて非常に便利です。 そのままスライスしてサラダやマリネに加えたり、カルパッチョにしたりするのがおすすめです。 酢の酸味で骨が柔らかくなっているものも多いですが、気になる場合は小骨を取り除くとより食べやすくなります。
・にしんの缶詰
水煮やオイル漬け、トマトソース漬けなど、様々な種類の缶詰が市販されています。 骨まで柔らかく煮込まれているため、下処理の必要がなく、手軽に使えるのが最大の魅力です。 水煮缶はアヒージョやパスタに、オイル漬けはリエットやブルスケッタなど、缶詰の種類と料理の相性を考えて使うと良いでしょう。 常温で長期保存できるため、ストックしておくといつでも手軽ににしん料理が楽しめます。
まずは試したい!定番のにしんイタリアンレシピ
にしんのイタリアンに初めて挑戦するなら、まずは定番のレシピから試してみるのがおすすめです。ここでは、素材の味をシンプルに楽しめるオイルサーディン、カルパッチョ、マリネの3つのレシピをご紹介します。どれも簡単ながら、食卓を華やかにしてくれる一品です。
にしんのオイルサーディン風
自家製のオイルサーディンは、缶詰とは一味違うフレッシュな味わいが魅力です。にしんを使えば、イワシよりも食べ応えのある一品に仕上がります。パンに乗せたり、パスタの具材にしたりと、アレンジも自在です。
・材料
・生にしん:2尾
・塩:適量
・オリーブオイル:にしんが浸るくらい
・にんにく:1〜2片
・鷹の爪:1本
・ローリエ:1枚
・黒粒こしょう:少々
・作り方
1. にしんは三枚におろし、腹骨をすき取ります。気になる方は小骨を骨抜きで取り除きます。
2. にしんの両面にしっかりと塩を振り、冷蔵庫で3時間ほど置きます。
3. にしんから出てきた水分をキッチンペーパーでよく拭き取ります。
4. 小さめの鍋やフライパンににしんを重ならないように並べ、スライスしたにんにく、鷹の爪、ローリエ、黒粒こしょうを加えます。
5. にしんが完全に浸るまでオリーブオイルを注ぎ入れ、ごく弱火にかけます。
6. 沸騰させないように注意しながら、15〜20分ほどじっくりと煮ます。 圧力鍋を使えば、より短時間で骨まで柔らかく仕上げることも可能です。
7. 粗熱が取れたら、オイルごと清潔な保存容器に移して完成です。冷蔵庫で1〜2週間ほど保存できます。
にしんのカルパッチョ仕立て
新鮮なにしんが手に入ったら、ぜひ試してほしいのがカルパッチョです。脂ののったにしんの甘みと、さっぱりとしたドレッシングの相性は抜群。彩りも良く、おもてなしの前菜にもぴったりです。
・材料
・生にしん(刺身用):1尾分
・玉ねぎ:1/4個
・ベビーリーフやラディッシュなど:お好みで
・A オリーブオイル:大さじ2
・A レモン汁:大さじ1
・A 塩:少々
・A 黒こしょう:少々
・A 醤油:数滴(お好みで)
・作り方
1. にしんは三枚におろして皮を引き、薄切りにします。骨が気になる場合は、包丁を寝かせてそぎ切りにすると骨を感じにくくなります。
2. 玉ねぎは薄切りにして水にさらし、辛味を抜いてから水気をしっかりと切っておきます。
3. お皿にベビーリーフと水気を切った玉ねぎを広げ、その上にスライスしたにしんをきれいに並べます。
4. 小さなボウルにAの材料をすべて入れてよく混ぜ合わせ、ドレッシングを作ります。
5. 食べる直前に、4のドレッシングをにしんの上から回しかければ完成です。
ポイントは、にしんに塩を振って少し置き、白ワインや酢で軽く締める下処理をすることです。 これにより、生臭さが和らぎ、身が引き締まってよりおいしくなります。ドレッシングに細かく刻んだディルやケッパーを加えると、さらに本格的な味わいになります。
にしんのレモンマリネ
酢漬けのにしんを使えば、和えるだけで簡単に本格的なイタリアンマリネが作れます。玉ねぎやパプリカなど、お好みの野菜をたっぷり加えて、彩り豊かに仕上げましょう。作り置きもできるので、常備菜としても活躍します。
・材料
・酢漬けにしん:1袋(約150g)
・玉ねぎ:1/2個
・パプリカ(赤・黄):各1/4個
・A オリーブオイル:大さじ3
・A レモン汁:大さじ1.5
・A 砂糖:小さじ1
・A 粒マスタード:小さじ1
・A 塩、黒こしょう:各少々
・ディルやパセリ(みじん切り):お好みで
・作り方
1. 酢漬けにしんは食べやすい大きさの一口大に切ります。隠し包丁を入れると味がなじみやすくなります。
2. 玉ねぎは薄切りにし、パプリカは細切りにします。玉ねぎは水にさらしてから水気を切っておくと、辛味が和らぎます。
3. ボウルにAの材料を入れてよく混ぜ合わせ、マリネ液を作ります。
4. 3のボウルに、にしんと野菜をすべて加えてよく和えます。
5. 冷蔵庫で30分以上置いて味をなじませます。お好みでディルやパセリを散らして完成です。
このレシピは、いわしやあじなど他の魚でもおいしく作ることができます。 マリネ液にローリエや唐辛子を加えると、風味が豊かになります。 冷蔵庫で3〜4日保存可能で、時間が経つにつれて味がなじみ、違った味わいが楽しめます。
にしんが主役!本格イタリアンレシピ
定番レシピに慣れたら、次はいよいよ本格的なメインディッシュに挑戦してみましょう。パスタ、アクアパッツァ、オーブン焼きと、どれもにしんの旨味を存分に味わえるレシピです。食卓の主役になること間違いなしの、満足感あふれる3品をご紹介します。
にしんとトマトのパスタ
にしんの濃厚な旨味は、トマトの酸味と相性抜群です。にしんの缶詰を使えば、手軽に本格的な味わいのパスタが完成します。ソースにしみ出たにしんの出汁が、パスタによく絡んで絶品です。
・材料(2人分)
・スパゲッティ:160g
・にしんの缶詰(水煮またはオイル漬け):1缶
・トマト缶(カット):1/2缶(200g)
・にんにく:1片(みじん切り)
・玉ねぎ:1/4個(みじん切り)
・鷹の爪:1本
・オリーブオイル:大さじ2
・白ワイン:大さじ2(あれば)
・塩、こしょう:各少々
・パセリ(みじん切り):適量
・作り方
1. フライパンにオリーブオイル、にんにく、鷹の爪を入れて弱火にかけ、香りをじっくりと引き出します。
2. 香りが立ったら玉ねぎを加えて、しんなりするまで炒めます。
3. にしんの缶詰を汁ごと加え、身を軽くほぐしながら炒めます。
4. 白ワインを加えてアルコールを飛ばし、トマト缶を加えて弱火で5〜10分ほど煮込みます。
5. 別の鍋でスパゲッティを袋の表示時間より1分短く茹で始めます。
6. 4のソースを塩、こしょうで味を調えます。
7. 茹で上がったパスタをソースの入ったフライパンに加え、よく絡め合わせます。 器に盛り付け、パセリを散らせば完成です。
にしんの干物や燻製を使うと、また違った香ばしい風味のパスタになります。 その場合は、にしんを焼いてから身をほぐして加えると良いでしょう。
にしんのアクアパッツァ
アクアパッツァは、魚介を水と白ワインで煮込むだけのシンプルなイタリアの郷土料理です。にしんを使えば、身から出る良質な脂と出汁がスープに溶け込み、奥深い味わいの一皿になります。フライパン一つで手軽に作れるのも嬉しいポイントです。
・材料(2人分)
・生にしん:1〜2尾
・あさり:100g(砂抜きしておく)
・ミニトマト:8個
・にんにく:1片(スライス)
・オリーブオイル:大さじ2
・白ワイン:50ml
・水:100ml
・塩、こしょう:各少々
・イタリアンパセリ:適量
・作り方
1. にしんはウロコと内臓を取り除き、よく洗って水気を拭き取ります。両面に塩、こしょうを振っておきます。
2. フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて熱し、にしんの皮目から入れて焼き色がつくまで焼きます。裏返して同様に焼きます。
3. あさり、ミニトマト、白ワインを加えて蓋をし、あさりの口が開くまで蒸し煮にします。
4. 水を加えて再び蓋をし、弱火で10分ほど煮込みます。
5. 蓋を取り、スープをスプーンでにしんにかけながら少し煮詰めます。
6. 塩、こしょうで味を調え、刻んだイタリアンパセリを散らして完成です。
にしんの身は崩れやすいので、ひっくり返す際はフライ返しなどで優しく扱いましょう。 アンチョビやケッパー、オリーブなどを加えると、より本格的な味わいになります。残ったスープは、バゲットを浸したり、リゾットにしたりして最後まで楽しめます。
にしんのオーブン焼き ハーブ風味
にしんの美味しさをシンプルに味わうなら、ハーブを効かせたオーブン焼きがおすすめです。オーブンでじっくりと火を通すことで、にしんの身はふっくらとジューシーに、皮はパリッと香ばしく焼き上がります。準備も簡単で、見た目も華やかなのでおもてなし料理にも最適です。
・材料(2人分)
・生にしん:2尾
・じゃがいも:1個
・ミニトマト:6個
・ローズマリー、タイムなどお好みのハーブ:適量
・にんにく:1片(スライス)
・オリーブオイル:大さじ3
・塩、黒こしょう:各少々
・作り方
1. にしんはウロコと内臓を取り、きれいに洗って水気を拭き取ります。両面に数カ所切り込みを入れ、塩、黒こしょうを振ります。お腹の中にハーブの一部を詰めても良いでしょう。
2. じゃがいもは皮をむき、5mm厚さの薄切りにして、数分水にさらしてから水気を切ります。
3. 耐熱皿にじゃがいもを並べ、その上ににしんを乗せます。ミニトマト、にんにくスライス、残りのハーブを散らします。
4. 全体にオリーブオイルを回しかけます。
5. 200℃に予熱したオーブンで20〜25分、にしんに火が通り、じゃがいもが柔らかくなるまで焼きます。
6. 焼き上がったら、お好みでさらにオリーブオイルをかけたり、レモンを絞ったりしてお召し上がりください。
パン粉にパルメザンチーズやハーブを混ぜたものをかけて焼く「香草パン粉焼き」もおすすめです。 サクサクとした食感が加わり、また違った美味しさが楽しめます。
もっと手軽に!にしん缶詰を使ったイタリアンレシピ
忙しい日や、あと一品欲しい時に大活躍するのが「にしんの缶詰」です。下処理済みで骨まで柔らかいので、調理時間を大幅に短縮できます。ここでは、にしん缶詰を使ってパパッと作れる、簡単でおしゃれなイタリアンレシピを3つご紹介します。
にしん缶とブロッコリーのアヒージョ
アヒージョは、オリーブオイルとニンニクで具材を煮込むスペイン料理ですが、イタリアンバルでも定番の人気メニューです。にしんの缶詰を使えば、旨味の詰まったオイルも無駄なく活用でき、手軽に本格的な味わいが楽しめます。
・材料
・にしんの水煮缶またはオイル煮缶:1缶
・ブロッコリー:1/2株
・マッシュルーム:4〜5個
・にんにく:1〜2片(スライス)
・鷹の爪:1本
・オリーブオイル:100ml
・塩:少々
・バゲット:適量
・作り方
1. ブロッコリーは小房に分け、マッシュルームは石づきを取って半分に切ります。
2. 小さめのフライパンか耐熱皿(スキレットなど)に、にんにく、鷹の爪、オリーブオイルを入れて弱火にかけます。
3. にんにくの香りが立ってきたら、ブロッコリーとマッシュルームを加えて、オイルで煮るように加熱します。
4. ブロッコリーに火が通ったら、にしんの缶詰を汁ごと加えます。にしんの身が崩れやすいので、そっと加えましょう。
5. 全体が温まったら塩で味を調えて完成です。
6. 熱々のうちに、スライスしたバゲットをオイルに浸してお召し上がりください。
残ったオイルは、パスタソースとしても活用できます。 エビや他のきのこ類など、お好みの具材を加えてアレンジするのも楽しいです。
にしん缶のリエット
リエットは、肉や魚をペースト状にしたフランスの伝統的な保存食です。にしんの缶詰を使えば、フードプロセッサーがなくてもフォークで混ぜるだけで簡単に作れます。パンやクラッカーに乗せれば、ワインによく合うおしゃれな前菜になります。
・材料
・にしんのオイル煮缶または水煮缶:1缶
・クリームチーズ:大さじ3〜4
・マヨネーズ:小さじ1〜2
・レモン汁:小さじ1
・玉ねぎ(みじん切り):大さじ1(お好みで)
・ディルやチャイブ(刻んだもの):少々
・黒こしょう:少々
・作り方
1. にしんの缶詰は、オイル煮ならオイルを軽く切り、水煮ならしっかりと水気を切ります。
2. ボウルににしんを入れ、フォークの背で細かく潰します。
3. クリームチーズとマヨネーズを加えて、滑らかになるまでよく混ぜ合わせます。
4. レモン汁、お好みで玉ねぎのみじん切り、刻んだハーブを加えてさらに混ぜます。
5. 黒こしょうで味を調え、冷蔵庫で少し冷やして味をなじませたら完成です。
ポイントは、にしんの骨が気になる場合は丁寧に取り除くことですが、缶詰の骨は柔らかいのでそのままでもほとんど気になりません。クリームチーズの代わりに、水切りヨーグルトを使うとさっぱりとした仕上がりになります。ピンクペッパーを散らすと、彩りと風味がアクセントになります。
にしん缶のブルスケッタ
ブルスケッタは、トーストしたパンに様々な具材を乗せるイタリアの軽食です。にしんの缶詰を使えば、乗せるだけでごちそう感のある一品が完成します。トマトの酸味やハーブの香りが、にしんの旨味を一層引き立てます。
・材料
・にしんの缶詰(オイル漬けまたはトマトソース漬け):1缶
・バゲット:4〜6切れ
・ミニトマト:4〜5個
・にんにく:1/2片
・バジルやイタリアンパセリ:数枚
・オリーブオイル:適量
・塩、黒こしょう:少々
・作り方
1. バゲットは1〜2cmの厚さにスライスし、オーブントースターで軽く焼き色がつくまで焼きます。
2. 焼きあがったバゲットの表面に、半分に切ったにんにくの断面をこすりつけて香りを移します。
3. ミニトマトは4等分に切り、バジルは手でちぎっておきます。
4. にしんの缶詰は、身を食べやすい大きさにほぐします。
5. ボウルにほぐしたにしん、ミニトマト、バジルを入れ、オリーブオイル、塩、黒こしょうで軽く和えます。
6. 2のバゲットに5の具材を乗せれば完成です。
トマトソース漬けの缶詰を使う場合は、和える際のオリーブオイルは不要です。 溶けるチーズを乗せてからトースターで焼いてもおいしいです。ケッパーやブラックオリーブのスライスを加えると、より本格的な味わいになります。忙しい朝食や、おもてなしの最初の一品として重宝するレシピです。
にしんイタリアンをさらにおいしくするコツ
にしんを使ったイタリアンを、ワンランク上のおいしさに仕上げるためのちょっとしたコツをご紹介します。魚特有の臭みを上手に消す下処理、料理の風味を豊かにするハーブやスパイスの選び方、そして料理にぴったりのワインの組み合わせまで、知っておくと役立つ情報が満載です。
にしんの臭みを消す下処理方法
にしんに限らず、魚料理をおいしく作るためには、特有の臭みを抑える下処理が大切です。特に生の魚を調理する際には、いくつかのポイントを押さえることで、仕上がりが格段に良くなります。
まず基本となるのが、塩水で洗うことです。濃度3%程度の塩水(水1リットルに対して塩大さじ2杯が目安)で魚の表面を優しく洗うと、ぬめりや残ったウロコ、余分な脂が落ち、臭みの原因を取り除くことができます。 洗った後は、キッチンペーパーで水分をしっかりと拭き取ることが重要です。
次に効果的なのが、塩や酢、酒を使う方法です。調理前に塩を振ってしばらく置くと、浸透圧で魚の余分な水分と一緒に出てくる臭みを拭き取ることができます。 また、酢や白ワイン、日本酒などには臭みを中和し、身を引き締める効果があります。 マリネやカルパッチョにする際は、酢やレモン汁で軽く締めると、さっぱりと仕上がります。 煮込み料理やソテーにする場合は、調理前に酒や白ワインを振りかけておくと、加熱した際の臭いを和らげることができます。 これらの簡単な下処理で、にしん本来の旨味を存分に楽しむことができます。
イタリアンに合うハーブとスパイス
イタリア料理の風味を決定づける上で欠かせないのが、ハーブとスパイスです。にしんの豊かな風味と組み合わせることで、料理の香りを引き立て、味わいに深みを与えてくれます。
・ディル:爽やかで少し甘い独特の香りが特徴。魚料理、特にサーモンやにしんとの相性は抜群です。 マリネやカルパッチョ、オーブン焼きなどに使うと北欧風の本格的な仕上がりになります。
・ローズマリー:すっきりとした強い香りが特徴で、魚や肉の臭み消しによく使われます。オーブン焼きやグリル料理で、にしんと一緒に加熱すると香りが移り、食欲をそそります。
・タイム:清涼感のある上品な香りで、様々な料理に合わせやすいハーブです。煮込み料理やオーブン焼き、パン粉焼きなどに加えると、風味に奥行きが出ます。
・オレガノ:トマトとの相性が非常に良く、ピザやパスタソースには欠かせません。にしんのトマト煮込みやトマトソースパスタに加えると、一気にイタリアンらしい風味になります。
・にんにく・唐辛子:この二つはイタリアンの基本中の基本です。オリーブオイルでじっくり香りを引き出すことで、ペペロンチーノやアヒージョ、アクアパッツァなど、あらゆる料理のベースとなります。
これらのハーブやスパイスを上手に使い分けることで、いつものにしん料理がより一層本格的で豊かな味わいになります。
にしん料理に合わせたいワイン
おいしいにしんのイタリアンが完成したら、ぜひワインと一緒に楽しんでみてください。料理とワインの組み合わせを考えることで、食事の時間がより豊かなものになります。
にしんのカルパッチョやレモンマリネなど、さっぱりとした前菜には、爽やかな酸味とハーブの香りを持つ辛口の白ワインがぴったりです。例えば、ソーヴィニヨン・ブランは、その柑橘系の香りとキレのある酸味が、マリネの酸味や魚の風味と見事に調和します。
オイルサーディンやアヒージョ、ハーブを使ったオーブン焼きなど、オリーブオイルやにしんの脂のコクを楽しむ料理には、果実味豊かで少しミネラル感のある白ワインがおすすめです。イタリアのピノ・グリージョやヴェルメンティーノなどが良いでしょう。ワインの持つコクが料理の旨味と合わさり、ハーブの香りが双方の風味を引き立て合います。
にしんのトマトソースパスタやアクアパッツァのように、トマトの旨味や煮込んだソースの味わいが主体となる料理には、軽めの赤ワインも意外な好相性を見せます。イタリアのサンジョヴェーゼやバルベーラなど、酸味がしっかりしていて渋みが穏やかな赤ワインは、トマトの酸味とよく合い、にしんの濃厚な旨味を優しく包み込んでくれます。もちろん、辛口のロゼワインを合わせるのも素晴らしい選択です。
まとめ:にしんのイタリアンレシピで食卓を豊かに
この記事では、和食のイメージが強いにしんを、イタリアンでおいしく楽しむための様々なレシピをご紹介しました。脂ののったにしんは、オリーブオイルやハーブ、トマトとの相性が抜群で、その可能性は無限大です。
カルパッチョやマリネといった手軽な前菜から、パスタやアクアパッツァなどの本格的なメインディッシュ、そして缶詰を使った簡単アレンジまで、にしんの新たな魅力を発見していただけたのではないでしょうか。下処理のコツやハーブの使い方を少し覚えるだけで、ご家庭でも本格的なイタリアンを再現できます。ぜひ、今晩の食卓に「にしんのイタリアンレシピ」を取り入れて、その美味しさを実感してみてください。
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