コロコロとした見た目が可愛らしく、食卓にあると嬉しくなる「じゃがいも小芋」。スーパーなどで見かけるけれど、普通のじゃがいもと何が違うのか、どうやって調理したら美味しく食べられるのか、いまいち分からないという方も多いのではないでしょうか。実はこのじゃがいも小芋、小さいながらも魅力がぎゅっと詰まった万能食材なのです。皮が薄くて扱いやすく、調理法次第でホクホクにも、ねっとりにもなり、料理の幅を広げてくれます。
この記事では、そんなじゃがいも小芋の基本情報から、面倒な皮むきを楽にする裏ワザ、定番からおしゃれな一品まで網羅した絶品レシピ、そして美味しさを長持ちさせる正しい保存方法まで、じゃがいも小芋に関する情報を余すところなくご紹介します。この記事を読めば、あなたもきっとじゃがいも小芋の虜になるはずです。
じゃがいも小芋とは?その特徴と魅力に迫る
まずはじめに、じゃがいも小芋が一体どのようなものなのか、その正体と魅力について詳しく見ていきましょう。普通のじゃがいもとの違いや、旬の時期、代表的な品種を知ることで、じゃがいも小芋をより深く理解し、料理に活かすことができます。
じゃがいも小芋の正体は「小さなじゃがいも」
じゃがいも小芋とは、その名の通り、小さなサイズのじゃがいもの総称です。特定の品種を指す言葉ではなく、じゃがいもを収穫する際にとれる規格外の小さいものを指します。 特に、春から初夏にかけて出回る「新じゃがいも」の小粒なものは「小芋」として販売されることが多いです。 新じゃがいもは収穫後に貯蔵・熟成させる通常のじゃがいもと違い、収穫後すぐに出荷されるため、みずみずしさが特徴です。
そのため、じゃがいも小芋は、品種としては「男爵」や「メークイン」「キタアカリ」など、私たちが普段食べているじゃがいもと同じものがほとんどです。 栽培過程で大きくならなかったものや、種芋として使うには小さすぎるものが「小芋」として市場に流通します。小さいからといって味が劣るわけではなく、むしろその小ささを活かした調理法で美味しく食べられるのが魅力です。
普通のじゃがいもとの違いと見分け方
じゃがいも小芋と普通のじゃがいもの最も大きな違いは、その大きさと皮の薄さです。特に新じゃがいもの小芋は、皮が非常に薄く、指でこするだけでむけてしまうほど柔らかいものもあります。 このため、皮ごと調理しても口に残りにくく、皮の近くにある風味や栄養も丸ごと摂取できるのが大きなメリットです。
食感については、品種によって異なりますが、一般的な傾向として、小芋は水分量が多いため、みずみずしく、ねっとりとした食感を楽しめるものが多いです。一方で、加熱することで水分が飛び、ホクホクとした食感になる品種もあります。味わいは、品種本来の風味に加え、皮付きで調理することでより一層じゃがいもらしい力強い風味を感じることができます。 見分け方としては、単純にサイズが小さいことに加え、「小芋」や「ころいも」といった名称で販売されていることが多いです。 また、春先に出回るものは新じゃがいもであることが多く、表面が滑らかでみずみずしい見た目をしています。
じゃがいも小芋の旬の時期はいつ?
じゃがいもは一年中スーパーに並んでいますが、実は旬が年に2回あります。 まず、春の旬は5月から6月頃で、この時期に収穫されるものは「新じゃが」と呼ばれます。 長崎県や鹿児島県など比較的温暖な地域で秋に植え付けられ、冬を越して春に収穫されます。 この時期のじゃがいも小芋は、皮が薄くみずみずしいのが特徴です。
もう一つの旬は、秋の10月から11月頃です。 これは、じゃがいもの一大産地である北海道などで春に植え付けられたものが収穫期を迎えるためです。 秋に収穫されるじゃがいもは、春のものに比べて水分が少なく、でんぷん価が高いため、ホクホクとした食感が強くなります。また、皮がしっかりしているため、春の小芋に比べて長期保存に向いています。 このように、じゃがいも小芋は春と秋、それぞれの季節で異なる味わいと食感を楽しむことができるのです。
代表的なじゃがいも小芋の品種と食感
じゃがいも小芋には特定の品種があるわけではありませんが、市場でよく見かける代表的な品種の小芋には、それぞれ食感や味わいに特徴があります。
・男爵薯(だんしゃくいも):丸い形で、果肉は白っぽいのが特徴です。でんぷん質が多く、加熱するとホクホクとした食感になります。 煮崩れしやすいため、粉ふきいもやマッシュポテト、コロッケなど、潰して使う料理に向いています。 小芋の場合は、煮崩れに注意しつつ、短時間で火を通すのが美味しく仕上げるコツです。
・メークイン:細長い卵型で、果肉はやや黄色がかっています。 粘質でキメが細かく、煮崩れしにくいのが最大の特徴です。 そのため、肉じゃがやカレー、シチューなどの煮込み料理に最適です。小芋を丸ごと煮っころがしにするなら、メークインがおすすめです。
・キタアカリ:男爵薯に似た丸い形ですが、果肉は男爵よりも黄色が濃いのが特徴です。 「栗じゃが」とも呼ばれるほど甘みが強く、ホクホク感も強い品種です。 ビタミンCが豊富とも言われています。 男爵よりもさらに煮崩れしやすいため、じゃがバターやポテトサラダ、レンジ調理などに向いています。
じゃがいも小芋の基本的な下処理と調理のコツ
じゃがいも小芋の魅力を最大限に引き出すには、適切な下処理と調理のコツを知っておくことが大切です。ここでは、皮の扱い方から、安全に食べるための注意点、そして調理法ごとのポイントまで、詳しく解説していきます。
皮はむく?むかない?おいしく食べるための下準備
じゃがいも小芋、特に新じゃがいもの場合、皮がとても薄いため、基本的には皮をむかずに調理するのがおすすめです。 皮と実の間には、風味や栄養素が豊富に含まれているため、皮ごと食べることでじゃがいも本来の美味しさを余すことなく味わうことができます。
下準備としては、まずボウルに小芋と水を入れ、手でこすり合わせるようにして表面の土や汚れをしっかりと洗い流します。たわしを使うと、よりきれいに洗うことができます。 傷が付いている部分や、黒ずんでいる部分があれば、包丁の先で軽く削り取っておきましょう。これだけで下準備は完了です。
もちろん、料理によっては皮をむきたい場合もあるでしょう。皮をむく場合は、後述する裏ワザを使うと簡単です。皮をむいた後、すぐに調理しない場合は、変色を防ぐために水にさらしますが、長時間さらしすぎると水溶性のビタミンなどが流れ出てしまうため、5分程度に留めるのがポイントです。
面倒な皮むきを簡単にする裏ワザ3選
小さいじゃがいも小芋の皮を一つひとつピーラーや包丁でむくのは、なかなか骨の折れる作業です。しかし、いくつかの裏ワザを知っておけば、この面倒な作業をぐっと楽にすることができます。
1. アルミホイルでこする方法:くしゃくしゃに丸めたアルミホイルを使って、水洗いしながらじゃがいもの表面をこするだけで、薄皮がするするとむけていきます。 凹凸のある部分や、芽の周りもきれいにすることができます。 包丁を使わないので、お子さんと一緒に安全に作業できるのも嬉しいポイントです。
2. 茹でてからむく方法:じゃがいもを洗った後、皮にぐるりと一周浅く切り込みを入れます。 その後、鍋に入れて水から茹で、竹串がすっと通るくらいになったら冷水にとります。 すると、切り込みの部分から皮が浮き上がり、手でつるんと簡単にむくことができます。 下茹でが同時にできるので、その後の調理時間も短縮できます。
3. レンジで加熱してからむく方法:茹でる方法と同様に、皮に一周切り込みを入れ、濡らしたキッチンペーパーで包んでからラップでふんわりと包みます。 電子レンジで数分加熱し、粗熱が取れたらラップとキッチンペーパーを外し、皮を左右に開くようにむきます。 この方法も、時短調理に繋がり非常に便利です。
じゃがいも小芋を調理する際の注意点(ソラニンについて)
じゃがいもを調理する際に、最も注意しなければならないのが「ソラニン」や「チャコニン」といった天然の毒素です。これらは、じゃがいもの芽や、光に当たって緑色に変色した皮の部分に多く含まれています。
ソラニンを多く摂取してしまうと、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、頭痛、めまいなどの中毒症状を引き起こす可能性があります。 特に、家庭菜園で収穫したものや、未熟で小さいじゃがいもはソラニンを多く含んでいることがあるため注意が必要です。
調理する前には、必ずじゃがいもをよく観察し、芽が出ていたら、その芽だけでなく、芽の根元部分も含めてしっかりとえぐり取るようにしましょう。 また、皮が緑色に変色している部分も、厚めに皮をむいて完全に取り除いてください。 小芋は皮ごと食べることが多い食材だからこそ、この確認作業は特に重要になります。もし、食べたときに苦味やえぐみを感じたら、無理に食べずに残すようにしましょう。
煮崩れさせないための調理のポイント
煮物やシチューなどでじゃがいも小芋を形良く仕上げたい場合、煮崩れを防ぐためのいくつかのポイントがあります。
まず、品種選びが重要です。「メークイン」や「とうや」、「インカのめざめ」といった粘質のじゃがいもは、煮崩れしにくい性質を持っています。 逆に、「男爵薯」や「キタアカリ」などの粉質のじゃがいもはホクホクしている分、煮崩れしやすいので、煮込み料理にはあまり向きません。
調理法にもコツがあります。煮る前に、油で表面を炒めたり、一度素揚げしたりすると、表面のでんぷんが固まり、煮崩れを防ぐことができます。 このひと手間で、コクも加わり一石二鳥です。また、煮る際は、水からゆっくりと加熱し、沸騰したら火を弱めてコトコトと煮ることが大切です。強火でグラグラと煮立てると、じゃがいも同士がぶつかり合い、煮崩れの原因となります。
さらに、落し蓋を使うことで、少ない煮汁でも均一に火が通り、煮汁の対流を抑えてじゃがいもが踊るのを防ぎます。 これらのポイントを押さえることで、見た目も美しい煮物を作ることができます。
【レシピ集】じゃがいも小芋を主役にした絶品料理
下処理と調理のコツをマスターしたら、いよいよ実践です。じゃがいも小芋はその小さくて可愛らしい形を活かした料理にぴったり。ここでは、誰もが大好きな定番料理から、ちょっとおしゃれなおつまみまで、じゃがいも小芋の魅力を存分に楽しめる絶品レシピを4つご紹介します。
定番の人気者!ホクホク甘辛い「小芋の煮っころがし」
じゃがいも小芋料理の王道といえば、やはり「煮っころがし」でしょう。甘辛い味がしっかりと染み込んだホクホクの小芋は、ごはんのおかずにも、お弁当の一品にもぴったりです。皮付きのまま調理することで、じゃがいもの風味が一層引き立ちます。
作り方は非常にシンプルです。まず、よく洗ったじゃがいも小芋を、多めの油を熱したフライパンや鍋で、表面に軽く焼き色がつくまで炒めます。 この工程で香ばしさとコクが加わり、煮崩れ防止にもなります。 次に、水、砂糖、醤油、みりんなどの調味料を加えます。 アルミホイルなどで落し蓋をして、竹串がすっと通るくらい柔らかくなるまで弱火から中火で煮込みます。 焦げ付かないように、時々鍋を揺すってあげましょう。 最後に落し蓋を取り、火を少し強めて煮汁を煮詰め、全体に照りが出てきたら完成です。 仕上げに削り節やいりごまをまぶすのもおすすめです。
おつまみに最高!カリッと香ばしい「小芋の丸ごと素揚げ」
小芋の美味しさをダイレクトに味わうなら、丸ごと素揚げにするのが一番です。外はカリッと香ばしく、中はホクホクとした食感のコントラストがたまりません。塩を振るだけでも絶品のおつまみになりますし、青のりやコンソメ、カレー粉などで味付けを変えても楽しめます。
美味しく揚げるコツは、二度揚げすることです。まず、よく洗って水気をしっかり拭き取った小芋を、170℃くらいの油で2〜3分揚げます。 一旦バットなどに取り出し、3分ほど休ませて余熱で火を通します。 その後、再度170℃の油で2分ほど揚げると、外側がカリッと仕上がります。 丸ごとのじゃがいもは火が通りにくいので、このひと手間が美味しさの秘訣です。 揚げる前に電子レンジで軽く加熱しておくと、揚げ時間を短縮することもできます。 揚げたてに塩を振り、お好みでケチャップやマヨネーズをつけて熱々のうちにいただきましょう。
風味豊か!バターと醤油が香る「小芋のバター醤油炒め」
バターと醤油の組み合わせは、誰もが好きな鉄板の美味しさです。じゃがいも小芋を使えば、手軽に風味豊かな一品が完成します。おつまみはもちろん、お子様にも喜ばれること間違いなしのメニューです。
まず、じゃがいも小芋をよく洗い、皮付きのまま耐熱皿に並べ、ラップをして電子レンジで竹串がすっと通るくらいまで加熱します。 この時、完全に火を通し切らず、少し芯が残るくらいが炒めやすく、型崩れしにくいです。加熱した小芋が大きい場合は、半分にカットします。 フライパンにバターを熱し、水気を切った小芋を入れて、切り口を中心に焼き色がつくまで炒めます。 最後に醤油を回し入れ、全体に絡めたら完成です。 お好みで黒胡椒やパセリ、いりごまを振ると、彩りと風味がアップします。 ベーコンやキノコ、アスパラなどを一緒に炒めても美味しくいただけます。
おしゃれな一品!「小芋ときのこのアヒージョ」
おもてなし料理や、少し特別な日の食卓には、じゃがいも小芋を使ったアヒージョはいかがでしょうか。にんにくの香りが食欲をそそり、ワインとの相性も抜群です。小芋のホクホク感と、きのこの旨味がオリーブオイルに溶け出し、絶品の味わいを生み出します。
作り方は、小さめの鍋(スキレットなど)に、たっぷりのオリーブオイル、薄切りにしたにんにく、鷹の爪を入れて弱火にかけ、香りをじっくりと引き出します。にんにくの香りが立ってきたら、あらかじめ電子レンジなどで軽く加熱しておいたじゃがいも小芋と、お好みのきのこ(マッシュルーム、しめじ、エリンギなど)を加えます。塩を振り、具材に火が通るまで弱火で5〜10分ほど煮込めば完成です。ローズマリーやタイムなどのハーブを加えると、より本格的な風味になります。 残ったオイルは、バゲットを浸して最後の一滴まで楽しんでください。
じゃがいも小芋を長持ちさせる正しい保存方法
手に入れたじゃがいも小芋を、できるだけ長く美味しく保つためには、正しい保存方法を知っておくことが不可欠です。ここでは、常温、冷蔵、冷凍の3つの方法について、それぞれのポイントとコツを詳しく解説します。
基本は冷暗所で!常温保存のポイント
じゃがいもは、基本的に気温が高すぎない時期であれば常温での保存が適しています。 ポイントは、「光を避け、風通しの良い涼しい場所で保存する」ことです。じゃがいもは光に当たると、皮が緑色に変色し、天然毒素であるソラニンが増える原因となります。
具体的な方法としては、まずじゃがいもに付いている土は、湿気を呼びカビの原因になることがあるため、軽くはらっておきます。ただし、洗い流してしまうと長期保存には向かなくなるので、土付きのままが基本です。これを通気性の良いカゴや紙袋、新聞紙に包んで、床下収納や北向きの涼しい部屋など、10℃前後の温度が保てる冷暗所に置きます。 りんごを1〜2個一緒に入れておくと、りんごから発生するエチレンガスの働きで、じゃがいもの発芽を抑制する効果が期待できます。逆に、玉ねぎはじゃがいもの発芽を促してしまうため、近くに置かないようにしましょう。
夏場や長期保存に!冷蔵保存のコツ
夏場など、室温が20℃を超えるような時期は、常温保存だと芽が出やすくなるため、冷蔵庫の野菜室での保存がおすすめです。 ただし、じゃがいもは低温で保存すると、でんぷんが糖に変わり、揚げ物などにした際に焦げ付きやすくなったり、食感が変わったりすることがあるため注意が必要です。
冷蔵保存する際は、じゃがいもを乾燥から守ることが大切です。1個ずつキッチンペーパーや新聞紙で包み、それをポリ袋や保存袋に入れて口を軽く閉じてから、野菜室に入れます。 キッチンペーパーが結露などの余分な水分を吸い取り、適度な湿度を保ってくれます。 この方法で、約1ヶ月程度の保存が可能です。 カットしたじゃがいもは、切り口が空気に触れないようにラップでぴったりと包み、早めに使い切るようにしましょう。
使い方いろいろ!便利な冷凍保存テクニック
じゃがいもは冷凍に向かない野菜と言われることがありますが、それは生のまま丸ごと冷凍すると、解凍時に水分が抜けてスカスカとした食感になってしまうためです。しかし、工夫次第で美味しく冷凍保存することができ、調理の時短にも繋がります。
おすすめは、加熱してから冷凍する方法です。
・マッシュして冷凍:茹でるかレンジで加熱して柔らかくしたじゃがいもを、熱いうちにマッシャーなどで潰します。冷めたら小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。 ポテトサラダやコロッケ、スープなどに凍ったまま使えて便利です。
・カットして冷凍:茹でたり揚げたりした小芋を、使いやすい大きさにカットします。水気をしっかり拭き取り、金属製のバットなどに重ならないように並べて急速冷凍します。凍ったら保存袋に移し替えます。 煮物や炒め物に凍ったまま加えることができます。
生のまま冷凍する場合は、できるだけ細切りや薄切りにして、水気をしっかり拭き取ってから急速冷凍します。 炒め物や味噌汁などに使うと、食感の変化が気になりにくいです。丸ごと冷凍したい場合は、1個ずつラップで包み、保存袋に入れて冷凍庫の奥で保存します。
知っておきたい!じゃがいも小芋の豊富な栄養
じゃがいもは炭水化物の塊というイメージが強いかもしれませんが、実は私たちの健康や美容に嬉しい栄養素がたくさん含まれています。特に小芋は皮ごと食べることが多いため、その栄養を効率よく摂取できるという利点があります。
美容と健康の味方!ビタミンCとカリウム
じゃがいもには、意外にもビタミンCが豊富に含まれています。 その含有量は、りんごの約4.7倍にもなると言われています。 ビタミンCは、肌のハリを保つコラーゲンの生成を助けたり、シミの原因となるメラニンの生成を抑えたりする働きがあるため、美肌作りには欠かせない栄養素です。また、抗酸化作用により、体の老化を防ぐ効果も期待できます。通常、ビタミンCは熱に弱い性質を持っていますが、じゃがいものビタミンCは主成分であるでんぷんに守られているため、加熱しても壊れにくいという大きな特徴があります。
さらに、カリウムも豊富に含まれています。 カリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあり、高血圧の予防や、むくみの解消に役立ちます。 現代の食生活では塩分を摂りすぎる傾向にあるため、意識して摂取したい栄養素の一つです。その他にも、お腹の調子を整える食物繊維も含まれています。
じゃがいも小芋の栄養を逃さない食べ方
せっかくの豊富な栄養素を無駄なく摂取するためには、食べ方に少し工夫をすることが大切です。
最も効果的なのは、皮ごと食べることです。 じゃがいもの皮のすぐ下には、食物繊維やポリフェノールの一種であるクロロゲン酸などの栄養素が多く含まれています。 じゃがいも小芋は皮が薄く食べやすいので、栄養を丸ごと摂るのに最適な食材と言えるでしょう。
調理法としては、茹でるよりも「蒸す」「焼く」「揚げる」といった方法がおすすめです。ビタミンCやカリウムは水に溶けやすい性質(水溶性)があるため、長時間水にさらしたり、茹でこぼしたりすると、栄養素が流れ出てしまいます。 電子レンジでの加熱も、水を使わずに短時間で火を通せるため、栄養の損失を抑えることができます。 どうしても煮物などで茹でる場合は、煮汁ごと食べられるスープやシチューにすると、溶け出した栄養素も一緒に摂ることができます。
他の芋類(さつまいも・里芋)との栄養比較
同じ芋類であるさつまいもや里芋と比べて、じゃがいもの栄養にはどのような特徴があるのでしょうか。
・カロリーと炭水化物:100gあたりのカロリーは、さつまいもが最も高く、次いでじゃがいも、里芋の順になります。主成分である炭水化物も同様の傾向です。
・ビタミンC:ビタミンCの含有量は、じゃがいもがさつまいもとほぼ同等で、里芋よりも多く含んでいます。 加熱に強いという点を考慮すると、じゃがいもはビタミンCの優れた供給源と言えます。
・食物繊維:食物繊維はさつまいもが最も豊富ですが、じゃがいもも皮ごと食べることでかなりの量を摂取できます。
・カリウム:カリウムは里芋が最も多く含んでいますが、じゃがいもも豊富です。
・ぬめり成分(ガラクタン・ムチン):里芋特有のぬめり成分には、消化を助けたり、免疫力を高めたりする効果があると言われています。これはじゃがいもやさつまいもにはない特徴です。
それぞれに異なる栄養的メリットがあるため、料理や目的に合わせて使い分けるのが賢い選択です。
まとめ:じゃがいも小芋を食卓にもっと取り入れよう
この記事では、コロコロと可愛らしい「じゃがいも小芋」について、その正体から特徴、下処理の方法、美味しいレシピ、保存方法、そして豊富な栄養まで、あらゆる角度から詳しく解説してきました。
じゃがいも小芋は、単に小さいだけのじゃがいもではなく、皮ごと食べられる手軽さや、調理法によって変わる多彩な食感、そして栄養価の高さなど、多くの魅力を持った食材です。煮っころがしのような定番の和食から、アヒージョのようなおしゃれな洋食まで、幅広い料理でその美味しさを発揮してくれます。
これまでじゃがいも小芋をあまり使ったことがなかったという方も、この記事を参考に、ぜひ日々の食卓に取り入れてみてください。旬の時期には、春のみずみずしい味わいや、秋のホクホクとした食感を楽しむことができます。正しい知識を持って調理・保存することで、じゃがいも小芋はあなたの料理のレパートリーを豊かにしてくれる、頼もしい存在になることでしょう。
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