パスタをすするのはマナー違反？音の理由と正しい食べ方を徹底解説

パスタを食べるとき、「ズズズッ」とお蕎麦やラーメンのように音を立ててすするのは、マナーとしてどうなのでしょうか？日本では麺類をすする文化が根付いているため、パスタをすすることに疑問を持つ方は少なくありません。「本当はダメなのかな？」「周りの人はどう思っているんだろう？」と、少し不安に感じてしまうこともありますよね。

この記事では、そんな「パスタをすする」問題について、マナーの観点から徹底的に解説します。なぜマナー違反とされるのか、その文化的な背景から、本場イタリアでの食べ方、そして誰でもすぐに実践できる美しい食べ方のコツまで、やさしく丁寧にご紹介します。この記事を読めば、あなたのパスタに関する疑問や不安が解消され、これからはもっと自信を持って、美味しくパスタを楽しめるようになるはずです。

パスタをすするのはマナー違反？気になる真相を解説
パスタの本場イタリアの食文化とマナー
もう迷わない！パスタの美しい食べ方【種類別】
こんな時どうする？パスタ食事中の困りごと解決策
まとめ：パスタをすする文化を理解し、美味しくスマートに楽しもう

パスタをすするのはマナー違反？気になる真相を解説

パスタと麺類、同じように口に運んでいるつもりでも、実は大きなマナーの違いが存在します。特に「すする」という行為は、文化によってその受け取られ方が大きく異なります。ここでは、パスタをすすることがなぜマナー違反とされるのか、その理由と日本の食文化との違いを詳しく見ていきましょう。

世界的なマナーでは「すする」のはNG

結論からお伝えすると、国際的なテーブルマナーにおいて、パスタを音を立ててすする行為はマナー違反とされています。これはイタリアンレストランに限らず、フレンチなど西洋料理全般で共通する認識です。日本では、お蕎麦やうどんを美味しそうにすする音が食欲をそそるとされることもありますが、海外、特に欧米文化圏では食事中に音を立てることは「品がない」「不快な行為」と見なされることがほとんどです。そのため、海外のレストランやフォーマルな場でパスタを食べる際には、音を立てずに静かにいただくのが基本となります。もちろん、親しい友人とのカジュアルな食事であれば、そこまで厳格に気にする必要はないかもしれません。しかし、マナーの基本として「パスタはすすらない」と覚えておくことで、どんな場面でも安心して食事を楽しむことができます。知らず知らずのうちに同席者に不快な思いをさせてしまわないよう、このグローバルな常識を心に留めておくと良いでしょう。

なぜパスタをすするのはマナー違反とされるのか

パスタをすすることがマナー違反とされるのには、いくつかの明確な理由があります。

第一に、「音」の問題です。西洋の食文化では、食事は静かに、会話を楽しみながら行うものという考え方が根底にあります。そのため、クチャクチャと咀嚼音を立てることや、食器がカチャカチャと鳴る音、そして麺をすする「ズズズッ」という音は、食事の雰囲気を壊す無粋なものとして敬遠されます。

第二に、「ソースの飛び散り」が挙げられます。パスタを勢いよくすすると、ソースが周囲に飛び散ってしまう可能性が高まります。これは自分自身の服を汚すだけでなく、テーブルクロスや、ひどい場合には同席している相手の服まで汚してしまう恐れがあります。食事の場を汚さず、清潔に保つこともテーブルマナーの重要な要素の一つです。

そして第三に、「食べ方の文化」の違いです。スパゲッティなどのロングパスタは、もともとフォークに巻きつけて一口で食べられるように考えられています。適量をフォークでくるくると巻けば、すすらなくてもきれいに口に運ぶことができるのです。すする必要がないものをあえてすするのは、その料理の本来の食べ方から外れていると見なされるわけです。これらの理由から、パスタをすすることは避けられるべき行為とされています。

日本ではどう？麺類をすする文化との違い

一方で、日本ではお蕎麦やうどん、ラーメンなどを音を立ててすすることは、決してマナー違反ではありません。むしろ、美味しさの表現であり、粋な食べ方とされることさえあります。では、なぜ同じ麺類なのに、これほどまでに扱いが違うのでしょうか。

その理由は、香りを楽しむための食べ方にあると言われています。お蕎麦やラーメンは、出汁やスープの豊かな香りが命です。麺をすする際、空気も一緒に口の中へ吸い込むことで、出汁の繊細な香りやスープの風味が鼻腔に広がり、より一層美味しさを感じられるのです。これは、ワインのテイスティングで空気を混ぜながら香りを楽しむのと似た原理です。

対して、パスタはソースの味や麺そのものの食感（アルデンテなど）を主に楽しむ料理です。すすることによって香りが引き立つという性質のものではないため、音を立てて食べる必要がないのです。

項目	日本の麺類（蕎麦・ラーメンなど）	パスタ
すする行為	推奨されることが多い（粋な食べ方）	マナー違反とされる
主な理由	風味や香りをより楽しむため	音やソースの飛び散りが不快とされるため
文化的位置づけ	美味しさの表現、食文化の一部	静かに会話を楽しむ食事文化にそぐわない
基本的な食べ方	箸で持ち上げ、すする	フォークで巻き、一口で食べる

このように、それぞれの麺料理が持つ歴史や文化的背景、そして美味しさを最大限に引き出すための食べ方の違いが、「すする」という行為への評価を大きく分けているのです。

周りの人はどう思ってる？すする音への印象

では、実際に日本でパスタをすする人を見たとき、周りの人はどのように感じているのでしょうか。これには様々な意見があります。

「日本では麺をすするのは普通だから、パスタも気にしない」という寛容な意見もあれば、「パスタをすする音はやっぱり気になる」「TPOをわきまえてほしい」と感じる人も少なくありません。特に、静かな雰囲気のレストランや、目上の方との食事、デートといった場面では、すする音を不快に感じる人が多い傾向にあるようです。自分は気にならなくても、相手は気になっているかもしれない、という配慮は大切です。

ある調査では、食事のマナーで気になることとして「音を立てて食べる」ことを挙げる人が常に上位にランクインします。この「音」には、咀嚼音だけでなく、麺をすする音も含まれることが多いです。特にパスタの場合、ソースが絡んでいるため、すする音がより粘着質で大きく聞こえがちで、生理的な嫌悪感を抱く人もいます。グローバル化が進む現代において、国際的なマナーを意識する人が増えていることも、パスタをすする行為に否定的な意見が多くなる一因と言えるでしょう。親しい間柄であっても、相手への思いやりとして、静かに食べることを心がけるのが無難と言えそうです。

パスタの本場イタリアの食文化とマナー

パスタといえば、やはり本場イタリア。彼らはどのようにパスタを楽しみ、どのようなマナーを大切にしているのでしょうか。イタリアの食文化を知ることで、パスタの食べ方に対する理解がさらに深まります。

イタリアではパスタをどう食べる？

本場イタリアでは、パスタはフォークだけを使って食べるのが最も一般的でエレガントな方法とされています。ナイフでパスタを切ることは、麺が伸びきってしまった時などにやむを得ず行うことはあっても、基本的にはマナー違反です。

ロングパスタ（スパゲッティなど）の場合、まずフォークで2〜4本程度の適量をすくい取ります。そして、お皿の空いているスペースや、お皿の内側の壁（カーブしている部分）を利用して、フォークをくるくると回転させて巻きつけます。この時、お皿の真ん中でぐちゃぐちゃとかき混ぜるように巻くのではなく、端の方でコンパクトにまとめるのがポイントです。きれいに巻き取れたら、そのまま口へ運びます。もちろん、この過程で音を立ててすすることはありません。一口で食べられる量をその都度巻くことで、ソースの飛び散りを防ぎ、見た目も美しく食べ進めることができます。この一連の動作が、イタリア人にとってはごく自然な日常の風景なのです。

スプーンを使うのは子どもだけって本当？

「パスタを食べるときにスプーンを使うのは子どもか観光客だけ」という話を耳にしたことがあるかもしれません。これは、ある意味で正しく、ある意味では少し語弊があります。

確かに、現代のイタリア、特に北中部の洗練されたレストランなどでは、大人がスプーンを使ってパスタを食べる姿はあまり見られません。 フォークだけで美しく食べることが、成熟した大人のマナーとされているからです。そのため、テーブルには最初からスプーンがセットされていないことも多いです。

しかし、歴史的に見ると、南イタリアの一部地域ではスプーンを使う習慣があったとも言われています。また、家庭での食事やカジュアルなトラットリア（大衆食堂）では、そこまで厳格に考えられていないこともあります。スープ仕立てのパスタや、具材が細かくてフォークだけでは食べにくい場合に、補助としてスプーンを使うことは合理的とも言えます。

ポイント
一般的に、フォーマルな場ではフォークのみで食べるのがスマートです。もしテーブルにスプーンが置かれていても、それはスープやデザート用の場合が多いので、安易にパスタに使わない方が無難でしょう。

結局のところ、「スプーン＝絶対NG」というわけではありませんが、「フォークだけで食べるのが主流であり、より洗練されたマナー」と理解しておくと良いでしょう。

イタリア人が音を立てて食べない文化的背景

イタリア人が食事中に音を立てないのは、単なるマナーという以上に、彼らの食文化に深く根差した理由があります。イタリアにおいて、食事は「コンヴィヴィアリタ（convivialità）」、つまり「共に生きる」「共食」の精神を体現する、非常に重要なコミュニケーションの場です。

家族や友人とテーブルを囲み、ワインを片手におしゃべりを楽しみながら、ゆっくりと時間をかけて食事をすることが最高の喜びとされています。このような社交の場において、食事の音は会話を妨げる雑音と見なされます。ズルズル、クチャクチャといった音は、楽しい会話の雰囲気を壊し、同席者に不快感を与えるため、厳しく慎むべきこととされているのです。

また、食べ物そのものへの敬意も関係しています。料理を作ってくれた人（マンマやシェフ）への感謝を込めて、一皿一皿を丁寧に、美しくいただくことが大切だと考えられています。ガツガツと音を立ててかきこむのではなく、五感を使って静かに味わうことが、料理と作り手に対するリスペクトの表れなのです。このように、食事を単なる栄養摂取ではなく、コミュニケーションと文化の場として捉えていることが、イタリア人が音を立てずに食べる背景にあると言えるでしょう。

知っておきたいイタリアの食事マナー

パスタの食べ方以外にも、知っておくと役立つイタリアの食事マナーがいくつかあります。これらを覚えておけば、イタリアンレストランでの食事がさらに楽しく、スマートになります。

パンの扱い方
イタリア料理にパンは欠かせませんが、日本のように料理が出てくる前にバターをつけて食べることは稀です。パンは料理の合間の口直しや、お皿に残ったソースを拭って食べるために使います。このソースを拭う行為は「スカルペッタ（scarpetta）」と呼ばれ、「小さくて可愛い靴」という意味があります。カジュアルな場では美味しいソースを残さずいただくための最高の賛辞とされますが、高級レストランなどフォーマルな場では控えた方が良いとされることもあります。
カトラリーの置き方
食事の途中で手を休めるときは、ナイフとフォークをお皿の上で「ハの字」に置きます。フォークは背を下に、ナイフは刃を内側に向けるのが基本です。食事が終わったら、お皿の右斜め下（時計の4時の位置）あたりに、ナイフとフォークを揃えて置きます。これが「食事が済みました」というサインになります。
カプチーノは午前中に
イタリアでは、ミルク入りのコーヒー（カプチーノなど）は朝食の飲み物とされています。乳製品が消化を妨げると考えられているため、ランチやディナーの後にカプチーノを注文すると、不思議な顔をされるかもしれません。食後には、エスプレッソを頼むのが一般的です。

これらのマナーは、イタリアの食文化への理解を深める一助となります。厳格に守ることよりも、その背景にある文化を尊重する気持ちが大切です。

もう迷わない！パスタの美しい食べ方【種類別】

マナーの背景を理解したところで、いよいよ実践編です。ここでは、パスタの種類別に、誰でも今日からできる美しい食べ方のコツを具体的にご紹介します。もう人前でパスタを食べることをためらう必要はありません。

基本！ロングパスタ（スパゲッティなど）の巻き方

スパゲッティやリングイネなどのロングパスタは、最も食べ方に迷う種類かもしれません。しかし、基本のステップさえ押さえれば、とても簡単です。

ステップ1：適量を取る
まずはフォークをパスタの山にそっと入れ、3〜4本の麺をすくい取ります。ここで欲張って大量に取ろうとすると、うまく巻けずに大きな塊になってしまい、口にも運びづらくなります。「少し少ないかな？」と感じるくらいの量が、美しく食べるための最初のポイントです。

ステップ2：お皿の余白で巻く
すくい取ったパスタを、お皿の空いているスペース（ソースなどがない場所）や、お皿の内側の壁際に移動させます。そして、フォークの先端をお皿につけたまま、手首を使ってくるくると優雅に回転させます。フォークを垂直に立てるのではなく、少し斜めに傾けて、お皿のカーブに沿わせるように巻くと、麺がきれいにまとまりやすくなります。

ステップ3：静かに口へ運ぶ
フォークに一口サイズにまとまったら、そのまま静かに口へ運びます。このとき、背筋を伸ばし、顔をパスタに近づけるのではなく、パスタを口元へ持っていくように意識すると、姿勢が美しく見えます。もし巻きつけたパスタから数本麺が垂れてしまっても、慌ててすすり込まず、一度お皿に戻して巻き直すか、そのまま口に入れて残りをフォークで補助しながら食べるとスマートです。

フォークだけで上手に巻くコツ

フォークだけでパスタを巻くのは難しいと感じる方もいるかもしれませんが、いくつかのコツをつかめば誰でもマスターできます。

フォークを立てすぎない
前述の通り、フォークを地面に対して垂直に立ててしまうと、麺がうまく絡まずに横へ逃げてしまいます。フォークを少し斜めに寝かせることで、麺が中心に集まりやすくなり、安定して巻くことができます。
巻く場所を意識する
パスタの山の上で直接巻こうとすると、余計な麺まで絡まってきてしまいます。必ず、一度すくい取った少量の麺を、お皿の「何もない場所」に移動させてから巻くようにしましょう。これにより、狙った分量だけをコンパクトに巻き取ることができます。
焦らずゆっくりと
急いで巻こうとすると、勢いでソースが飛び散ったり、麺がフォークから外れたりしがちです。特に慣れないうちは、ゆっくりとした動作を心がけましょう。優雅に、落ち着いて巻く姿は、それだけでとても美しく見えるものです。

練習するなら、オイル系のシンプルなパスタ（ペペロンチーノなど）から始めると良いでしょう。ソースの飛び散りを気にせず、麺を巻く動作に集中できます。

これらのコツを意識するだけで、フォークさばきが見違えるほどスムーズになるはずです。

ペンネやマカロニなどショートパスタの食べ方

ペンネやマカロニ、フジッリといったショートパスタは、ロングパスタに比べて食べやすいと感じる方が多いでしょう。基本的な食べ方はとてもシンプルです。

ショートパスタは、フォークの先端で突き刺して食べるのが基本です。特にペンネのように筒状になっているものや、フジッリのように螺旋状になっているものは、刺すことでソースが内側や溝によく絡み、一口で美味しさを堪能できます。一度に複数個刺しても問題ありませんが、口に運びやすい量に調整しましょう。

ただし、マカロニのように小さくて刺しにくいものや、細かな具材と一緒に食べたい場合は、無理に刺す必要はありません。その場合は、フォークをスプーンのように使い、腹の部分ですくい上げて食べます。このときも、お皿に顔を近づけてかきこむのではなく、背筋を伸ばして口元へ運ぶことを意識してください。大きな具材、例えばブロッコリーや鶏肉などが入っている場合は、フォークの側面（エッジの部分）を使って食べやすい大きさにカットしてから、パスタと一緒に口に運びます。ナイフを使うのは一般的ではありませんので、フォークで対応できる硬さのものはフォークで処理するのがスマートです。

ラザニアやラビオリはどう食べる？

ラザニアやラビオリも、パスタの一種です。これらはロングパスタやショートパスタとは少し食べ方が異なります。

ラザニアは、平たい板状のパスタとソース、チーズが層になっている料理です。これはナイフとフォークを使って食べるのが一般的ですが、テーブルにナイフが用意されていない場合は、フォークの側面を使って切り分けて食べます。右端または左端から、一口サイズに切り分け、その断面も楽しみながらフォークで刺して口に運びます。層が崩れないように、優しく切り分けるのがポイントです。

ラビオリは、パスタ生地でひき肉やチーズなどの具材を包んだ、餃子のようなパスタです。これも基本的にはフォークだけで食べます。一つずつフォークで刺すか、ソースを絡めるようにすくって口に運びます。ラビオリは一つが大きい場合もありますが、一口で食べるのが基本です。もし大きすぎて一口で食べるのが難しい場合は、ラザニアと同様にフォークの側面で半分にカットしてから食べても構いません。大切なのは、中身の具材がこぼれ出ないように、丁寧に扱うことです。

こんな時どうする？パスタ食事中の困りごと解決策

どんなに気をつけていても、食事中には思わぬトラブルが起こるものです。ソースが飛んでしまったり、パスタがうまく巻けなかったり…。そんな「困った！」という状況にスマートに対応できる方法を知っておけば、もっと安心して食事を楽しめます。

ソースが服に飛んでしまった時の応急処置

パスタを食べていて最も焦る瞬間のひとつが、ソースが服に飛んでしまった時でしょう。特にトマトソースやイカスミソースの染みは目立ちます。そんな時は、慌てず冷静に対処することが大切です。

まず、すぐに乾いたナプキンやティッシュ、ハンカチで、染みの部分を軽く押さえてソースの油分や水分を吸い取ります。このとき、絶対にゴシゴシとこすらないでください。こすると染みが繊維の奥深くまで入り込んでしまい、かえって汚れが広がってしまいます。

次に、もしおしぼりがあれば、そのきれいな部分で染みの周りから中心に向かって、トントンと優しく叩くように汚れを移し取ります。水だけで落ちない油性の染み（ミートソースなど）の場合は、お手洗いで石鹸を少しだけつけて、同じように叩くと効果的な場合があります。ただし、デリケートな素材の服の場合は、水や石鹸を使うことで輪ジミができてしまう可能性もあるため、まずは目立たない場所で試すか、吸い取るだけにとどめておきましょう。応急処置をしたら、あとはなるべく早くクリーニングに出すのが最善策です。

長いパスタがうまく巻けない時の対処法

何度挑戦してもうまくパスタが巻けない、大きな塊になってしまう…そんな時は、一度深呼吸をして基本に立ち返りましょう。

うまく巻けない最大の原因は、一度に取ろうとする麺の量が多すぎることです。まずは、フォークで拾い上げる本数を、思い切って1〜2本に減らしてみてください。たったそれだけでも、驚くほど簡単に、そしてきれいに巻けるようになります。少ない量で巻くことに慣れてきたら、少しずつ本数を3〜4本に増やしていくと良いでしょう。

また、麺が長すぎて扱いにくいと感じることもあるかもしれません。その場合、本来はマナー違反とされますが、やむを得ない場合はフォークで麺を押さえつけ、お皿の縁に押し付けるようにして短く切ることも最終手段として考えられます。ただし、これはあくまで緊急避難的な方法です。基本的には、一口で食べられる分だけを丁寧に巻き取る練習をすることが、最もスマートな解決策と言えます。どうしても難しい場合は、最初からショートパスタのメニューを選ぶというのも一つの手です。

大きな具材と一緒にきれいに食べるには

ペスカトーレの大きなエビや、ゴロゴロとしたお肉が入ったボロネーゼなど、パスタには魅力的な具材がたくさんあります。これらをパスタと一緒にきれいに食べるのにも、少しコツがいります。

まず、エビやアサリ、ムール貝など、殻付きの魚介類が出てきた場合、手で殻を外す必要があります。そのためのフィンガーボール（指を洗うための水が入った器）が提供された場合は、それを使って指をきれいにしましょう。外した殻は、テーブルに用意されている殻入れ用のお皿にまとめます。

鶏肉や野菜、ベーコンといった大きな具材は、フォークの側面を使って一口大にカットします。ナイフのように鋭くはありませんが、ほとんどの具材はフォークのエッジで十分に切ることができます。小さくした具材をフォークの先に刺し、その上からパスタを巻きつけるようにすると、麺と具材をバランス良く一緒に食べることができます。また、具材を先にいくつか口に運び、後からパスタを食べるというように、別々に食べてもマナー違反にはなりません。自分が最も食べやすい方法で、落ち着いて味わうことが大切です。

食べ終わった後のお皿とカトラリーのマナー

美味しいパスタを堪能し、食事が終わった後にも、美しい締めくくりのマナーがあります。それは、使ったカトラリー（フォークやナイフなど）の置き方です。

食事が終わったら、フォークやスプーンはお皿の上に揃えて置くのが基本です。国や地域によって多少の違いはありますが、一般的にはお皿の右側、時計で言うと3時から5時の方向に、柄が手前に来るようにして置きます。フォークは背を上（凸）にしても下（凹）にしても良いとされますが、ナイフと一緒に置く場合は、ナイフの刃を自分側（内側）に向け、その隣にフォークを並べます。これは、お店のスタッフに対して「食事が終わりました。お皿を下げて大丈夫です」という合図になります。

使用済みのカトラリーをお皿の縁にかけたり、テーブルに直接置いたりするのは見栄えも良くなく、テーブルを汚してしまう原因にもなるため避けましょう。また、紙ナプキンは、きれいに畳みすぎず、かといってくしゃくしゃにもせず、軽く畳んでテーブルの左側かお皿の上に置きます。最後までスマートな振る舞いを心がけることで、食事の満足度がさらに高まるでしょう。